問 題
薬物を静脈内投与したとき、表に示すパラメータが得られた。この薬物の全身クリアランスに関する記述として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、この薬物は肝代謝と腎排泄によって体内から消失し、肝血流量は100L/hとする。
- 肝血流量の変動の影響を顕著に受ける。
- 肝代謝酵素阻害の影響を顕著に受ける。
- 肝代謝酵素誘導の影響を顕著に受ける。
- 薬物が結合する血漿タンパク質量の変動の影響を顕著に受ける。
- 腎機能の変動の影響を顕著に受ける。
正解.1
解 説
全身クリアランスを、CLtot (表より、100 (L/h) )、肝クリアランスを、CLh、腎クリアランスを、CLr とおきます。(ちなみに h は、hepatic(肝臓の) の略、r は、renal(腎臓の) の略 です)。CLtot = CLh + CLr です。
尿中未変化体排泄率が 10 % だから、腎クリアランスが CLtot × 0.1 = 10 (L/h) です。100 = CLh + 10 なので、CLh = 90 (L/h) とわかります。ここで、全身クリアランスのうち 90 % が肝クリアランスなので、全身クリアランス≒肝クリアランスと考えます。
肝血流量が、問題文より 100 (L/h) で、肝クリアランスが、90 (L/h) とわかりました。肝抽出率(Eh)が、CLh/Qh なので、90/100 = 0.9 とわかります。Eh > 0.7 の場合は、CLh = Qh と考えてOKです。すなわち、血流依存性薬物と考えられます。
肝クリアランスが、肝血流の影響を顕著に受け、全身クリアランス≒肝クリアランスであるため、全身クリアランスが肝血流の影響を顕著に受けるということがわかります。
以上より、正解は 1 です。
コメント