薬剤師国家試験 第100回 問147 過去問解説

 問 題     

治験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 治験の対象となる薬物について初めて治験の計画の届出をした者は、届出の日から直ちに治験を依頼することができる。
  2. 治験の計画を届け出た治験依頼者は、治験を行う医療機関を追加しても、治験計画の変更届を提出する必要はない。
  3. 厚生労働大臣は、治験の依頼に関する基準に適合しているかどうかを調査するため、当該職員に治験薬を業務上取り扱う場所に立ち入り、検査させることができる。
  4. 治験依頼者は、治験薬の容器に治験用である旨、治験依頼者の氏名及び住所、化学名、用法又は用量、及び効能又は効果を記載しなければならない。
  5. 治験依頼者は、治験薬の副作用によるものと疑われる死亡につながるおそれのある症例を知ったときは、定められた期間内に厚生労働大臣(情報の整理を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に行わせることとした場合は、PMDA)に報告しなければならない。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
治験計画制度において初めての届出では、PMDA へ届出をした日から起算して 30 日経過した後でなければ、治験を医療機関に依頼したり治験を開始してはならないこととされています。(いわゆる 30 日調査の期間です。)よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
届出事項に変更が生じた場合は、変更届を出さなければなりません。(この選択肢は、知識として知らなくても、変更届を出さなくてよいとするとおかしい、と考えることができると思います。

例えば、治験の対象者が急に少なくなったケースで関連病院の患者を追加で対象者としたい時に変更届を出さなくてよいとすると、計画書に入ってないから、治験をしたかが追求できない → 何かあった時に、責任の所在が不明になる。→ 患者の利益が担保されない可能性が生じる。といった不利益が考えられます。よって、変更届を出す必要があるだろうと推測できるのではないでしょうか。)よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい選択肢です。

選択肢 4 ですが
治験薬の容器 又は被包には、治験用である旨、治験依頼者の氏名や住所、化学名 or 識別器号 製造番号 or 製造記号、貯蔵方法、必要なら有効期間等の内容を記載しなければなりません。また、予定される販売名、効能・効果、用法・用量は記載してはいけません。(これは、治験の中立性、正確性を担保するためです。名前が「コリトレール」だったら、肩こり取れそうって思い込んじゃう といったことが治験の結果に影響を与えてしまうことを避けるためです。)よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい選択肢です。

以上より、正解は 3,5 です。

コメント