薬剤師国家試験 第100回 問142 過去問解説

 問 題     

医薬品医療機器等法(旧称:薬事法)で規制される指定薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 指定薬物を含有する植物は、すべて指定薬物として規制される。
  2. 指定薬物の製造、販売等が認められる「医療等の用途」とは、疾病の診断、治療又は予防の用途及び犯罪鑑識の用途のみである。
  3. 指定薬物の広告に関する規制はない。
  4. 厚生労働大臣は、医薬品医療機器等法(旧称:薬事法)の規定に違反して販売された指定薬物を薬事監視員に回収させることができる。
  5. 医薬品医療機器等法(旧称:薬事法)の規定に違反して指定薬物を販売した者に対する罰則は、罰金のみである。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

選択肢 1 ですが
指定薬物を含有する物は指定薬物とされますが、元来指定薬物を含有する植物については法の規制の対象外となっています。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「医療等の用途」には、国の機関などによる学術研究 又は試験検査の用途が含まれます。他にも、物質によっては、化学反応に用いる用途 が認められています。さらに、厚生労働大臣が認めた、人の身体に対する危害発生のおそれがないと認めた用途 を含みます。選択肢にあげた用途のみでは、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
指定薬物に関して、広告等は禁止されています。さらに、広告中止命令を行うことができるなどの規制があります。よって、選択肢 3 は誤りです。

以下 雑感 —–
H26年の、旧薬事法一部改正により、指定薬物のみならず「同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品」についても広告等が禁止される 等、危険ドラッグ問題に関して 法改正が順次行われています。薬学に関する知識が立法に活用されることにより適切な規制を実現できる法体系が構築される過程に、そして、その過程を職務として担っている人達に敬意を払わずにはいられません。

このような立法を含めた政策立案に薬学の専門的知識を活用するという事例に興味・関心を覚える人は、国家公務員などの職も進路の一つとして考えてみるとよいのではないか と個人的に感じます。そして、法規の勉強がそのようなきっかけとなるならばとても有意義だなぁと思います。以上、雑感 —–

選択肢 4 は、正しい選択肢です。
ちなみに、薬事監視員とは、薬務課や保健所に所属する、薬事法に規定された指導などを行う任命された公務員のことです。

選択肢 5 ですが
指定薬物の販売に対する罰則は罰金だけでなく、懲役もあります。ちなみに、指定薬物は所持や使用さらには購入についても、取り締まりの対象となっておりそれらの罰則も、罰金だけでなく、懲役もあります。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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