薬剤師国家試験 第100回 問138 過去問解説

 問 題     

ある工場排水の生物化学的酸素要求量(BOD)を測定するため、試料に希釈植種水を加えて10倍に薄めたところ、希釈15分後の溶存酸素は9.0mg/Lであり、20℃で5日間培養した後には溶存酸素は5.0mg/Lとなった。

希釈植種水は、BOD20mg/Lの河川水を5%含み、植種水の希釈に用いた水の5日間の溶存酸素消費量は0.2mg/Lであった。この排水のBOD(mg/L)に最も近い値はどれか。1つ選べ。

  1. 20
  2. 25
  3. 30
  4. 35
  5. 40

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

BOD とは、20℃、5 日間で培養した時の酸素要求量 のことです。問題文より、用いられた水ごとに BOD を整理すると、以下のようになります。

・工場の排水(BOD x mg/L)
・植種水(BOD 20mg/L)
・希釈に用いた水(BOD 0.2mg/L)

本問のイメージは、以下になります。

工場の排水は、10 倍に薄められているので、薄めた後の BOD は 0.1 x mg/L となります。

次に、希釈植種水について考えます。まず、希釈植種水を作成する際に、植種水は 20 倍に薄められているため、BOD は、1 mg/L となります。植種水の希釈に用いた水は、20/19 倍に薄められているため、BOD は、0.18mg/L となります。

【20/19倍 について補足】
※植種水 5% と問題文にあるので、希釈に用いた水が 95% です。例えば 5g と 95g とすれば合わせて 100g となります。従って、濃度は100/95 = 20/19 倍に薄められます。
【補足 終わり】

合計すると、大体 1.2 mg/L です。(選択肢から、少数第一位にこだわる必要がないと判断して、四捨五入しています。)さらに、希釈植種水と排水を混ぜることで、希釈植種水は、10/9 倍に薄められますから、1.08 mg/L ≒ 1.1 mg/L です。

以上より、希釈した排水の BOD は 0.1 x + 1.1 と表すことができます。この排水の BOD は、溶存酸素が 9mg/L → 5mg/L となっているから 4mg/L です。つまり、0.1 x + 1.1 = 4 です。この式を満たす x に一番近いのは x = 30 です。

以上より、正解は 3 です。

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