問 題
国民医療費に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 一般用医薬品の購入費用は含まれない。
- 財源の80%以上は、保険料である。
- 薬局調剤医療費は、近年横ばい傾向にある。
- 薬剤料が占める割合は、50%を超えている。
- 国民所得に占める割合は、1%以下である。
解 説
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
一般用医薬品というのは、ドラッグストアで売っているかぜ薬などです。この購入時には、保険証を見せても安くならないように国民医療費には、含まれません。
選択肢 2 ですが
国民医療費の財源の内訳ですが、保険料は、50 % 弱です。残りは、自己負担と、公費となります。80 % 以上 を保険料が占めているわけでは、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
薬局調剤医療費は、増加傾向にあります。近年横ばいでは、ありません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
国民医療費に占める薬剤費の割合は約 20 % 強 です。50 % を超えているということは、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
国民医療費の国民所得に対する比率は約 10 % です。1 % 以下 では、ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
以下、選択肢 3 について雑感 —–(国試対策としては、不要です。)
「調剤医療費の増加傾向」については「だから、医療費増加の原因は、薬局が儲け過ぎ」という話につながりやすい事実といえます。しかし、伸びをみると、処方箋1枚あたりの薬剤料は伸びておらず、処方箋枚数の増加が主な原因である、という分析があります。仮にそうであれば、処方箋の枚数は薬局が自由に決定できることではなく医療構造全体の問題といえます。
さらに、高額な薬剤が増えている中で、後発医薬品の使用推進に取組んだ結果として、薬剤料抑制に貢献しているという評価もあります。(だから、処方箋1枚あたりの薬剤料は、高額薬剤が増えているけれども抑えられているということです。)
少子高齢化の進展と、高額薬剤の増加 の下で、医療費削減 が求められている背景から
わかりやすく 「悪者」を見つけて、そこに焦点を絞って批判が集まることがありえます。(そのような流れを、個人的には感じます。)その際、当事者である薬剤師が問題意識、分析力を持たず、漫然と過ごしていては、好き放題言われたあげく、自分たちの仕事に誇りを持つことができなくなり、国民の健康のため、適切な薬物使用に貢献するという職務に全力を注ぐことが難しくなるかもしれません。
もちろん、過度な反応を示すことは、自分の身を守ろうとしているだけ という印象しか与えない懸念を覚えます。しかし、自分なりの意見を、根拠を持って胸に抱いておく必要は、これからの薬剤師一人一人にあるのではないかと感じます。国試対策を通じて、学んだことをきっかけとして一歩深く自分なりに学ぶ ということを合格後に意識できれば学習の意義も大きいのではないかと考えます。以上 雑感 —–
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