公務員試験 H30年 国家専門職(食品衛生監視員) No.3微生物学Ⅰ(1)解説

 問 題     

ウイルスの増殖に関する記述 ①~⑤ について,妥当なものには ○ を,妥当でないものには × をそれぞれ記せ。

① 感染細胞内で感染性ウイルスが検出されない時期を暗黒期と呼ぶ。

② 一段増殖曲線とは,一つの細胞に感染したウイルスが,時間経過とともに,どのように増殖するかを示したものである。

③ ウイルスの侵入とは,ヌクレオカプシドが細胞膜を越えて,細胞質に入る過程である。

④ ウイルスは,細胞膜の不特定の部分へ吸着することが可能である。

⑤ ウイルスは,標準寒天培地で培養する。

 

 

 

 

 

 解 説     

①、②は妥当な記述です。
ウイルスの増殖曲線を描くと、いったん減少する部分があり、暗黒期と呼ばれます。また、細菌の増殖曲線における「対数増殖」と対比して、ウイルスの増殖曲線は「一段増殖」と呼ばれます。

③は妥当な記述です。
細胞膜の越え方には、膜を貫通するものや、エンベロープが細胞質膜と融合した後に、ウイルスヌクレオカプシドのみが細胞質中に放出されるものなどがあります。

④ですが
ウイルスは細胞表面の各ウイルスに特異的なレセプターと反応して吸着します。したがって「不特定の部分へ吸着が可能」ではありません。

⑤ですが
ウイルスの培養には生きた動物や細胞が必要です。寒天培地では培養ができません。

以上より、①◯、②◯、③◯、④☓、⑤☓です。

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