公務員試験 H30年 国家一般職(農学) No.21 解説

 問 題     

花き類の生育と開花制御に関する記述 A ~ D のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.昼温と夜温の温度較差を DIF といい、草丈の伸長に影響することが知られている。昼温が夜温より高いと DIF はプラス、昼温が夜温より低いと DIF はマイナスとなり、DIF がマイナスになると草丈の伸長が抑えられることから、花壇苗などの矮化に利用されている。

B.低温に感応して花芽分化が誘導される現象を脱春化という。スターチス・シヌアータの栽培では、吸水して発芽中の種子の段階でも低温感応することから、種子冷蔵による開花調節が行われる。処理後は、30 ℃ 程度の高温を与えることで開花までの期間が短縮する。

C.キクは長日条件で花芽分化することから、日長が短くなる秋から冬にかけての栽培では、夜間に電照を行うことで花芽分化を促進することができる。キクの花芽分化には連続した明期の時間が重要で、明期の中間に短時間遮光すると花芽形成が抑えられる。

D.葉は展開するものの節間伸長がみられず成長停止に近い状態にあることをロゼットという。トルコギキョウでは、種子が吸水してから本葉が二対展開するまでに高温に遭遇するとロゼット化し、一定期間の低温に遭遇することでロゼットが打破される。


1.A、B
2.A、D
3.B、C
4.B、D
5.C、D

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 A は妥当です。
DIF:difference 昼夜温度差 についての記述です。


記述 B ですが
一定期間低温にあうと、それに反応して花芽分化する現象は「春化」です。「脱春化」は、低温にあった直後に高温にあうことで、春化の効果が失われる現象です。記述 B は誤りです。


記述 C ですが
キクは暗期が長くなると花芽分化する「短日植物」の一種です。「長日条件で花芽分化」ではありません。夜間に電照を行うことで「花芽分化を抑制」することで開花時期を遅らせることができます。

また、花芽分化には連続した「暗期」の時間が重要です。連続した「明期」ではありません。記述 C は誤りです。


記述 D は妥当です。
ロゼットについての記述です。


以上より、正解は 2 です。

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