公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.40解説

 問 題     

免疫グロブリンに関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。

1.免疫グロブリンの抗原結合部位は,L 鎖の可変領域とH 鎖の定常領域とで形成される。

2.免疫グロブリンの多様性はクローン選択によって生み出される。

3.IgM とIgD の産生は,選択的RNA スプライシングにより転写される前に制御されている。

4.免疫グロブリン遺伝子の組換えでは,ランダムなヌクレオチド配列の欠失や付加がみられる。

5.一般に,IgM から二次クラスの抗体へのクラススイッチは可逆的である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
抗原結合部位は、いわゆる Y字の上端 2 箇所です。つまり、L鎖、H鎖の、共に「可変領域」です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
免疫グロブリンの多様性は「遺伝子再編成」により生み出されます。クローン選択ではありません。クローン選択とは、免疫機構に関する説明です。抗原により、対応する抗体産生細胞が選択的に増殖する、という仕組みのことです。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
選択的スプライシングの仕組みを用いて、異なるクラスの抗体を産生します。(クラススイッチ)。従って、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、妥当な記述です。
これにより更に多様性を増しています。

選択肢 5 ですが
遺伝子を欠損するため、一般に不可逆的です。

以上より、正解は 4 です。

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