公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.35解説

 問 題     

一般に、高分子を加熱すると、軟化し、更に加熱を続けると流動性を示すようになる。非晶性高分子が軟化する温度をガラス転移温度 Tg という。次の㋐、㋑、㋒のそれぞれの a、b から、Tg がより高い高分子を選び出したものの組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし、各高分子は、分子量の依存性が無視できるほど大きな分子量で、結晶化度が低いものとする。

㋐ ㋑ ㋒
1.  a b a
2.  a b b
3.  b a a
4.  b a b
5.  b b b

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

分子間力が大きい、回転するのが難しい といった要因があると Tg は大きくなります。

㋐ですが
a,b の違いは CN の有無です。CN は大きな双極子といえます。従って分子間力が大きくなる方向と解釈できます。Tg は b の方が大きいと考えられます。

㋑ですが
a,b の違いはアルキル鎖 の長さです。モノマーにおいてアルキル鎖部分が長くなると、分子間力という観点からみれば、小さくなると考えられます。(∵アルキル鎖部分は極性が小さい部分だから)。するとTg は b の方が小さいと考えられます。つまり、Tg は a の方が大きいです。

㋒ですが
a,b の違いは直線状か、枝分かれ状かという違いです。高分子ではなく、有機化学の知識として、「アルカンの融点は、枝分かれがあると分子間力が低くなり、融点が低くなる」ということは基礎知識です。同様に考えて a の方が分子間力が大きく、Tg は a の方が大きいと考えられるのではないでしょうか。

㋐ b、㋑ a、㋒ a です。

以上より、正解は 3 です。

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