公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.17解説

 問 題     

共役二重結合に関する次の記述の ㋐〜㋓ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「1、3ーブタジエン CH2 = CH-CH = CH2  の 2 位と 3 位の炭素原子間の結合距離は、エタンの炭素原子間の結合距離より㋐。紫外・可視吸収スペクトルにおいて、1、3ーブタジエンは 217 nm に吸収極大が現れるが、これは ㋑ 遷移によるものである。この遷移は共役系の二重結合の数が増えるにつれて㋒ 側にシフトする。このような効果を ㋓ という。」

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1.長いπ→π*長波長深色効果
2.長いn →π*長波長浅色効果
3.短いπ→π*長波長深色効果
4.短いπ→π*短波長浅色効果
5.短いn → π*短波長浅色効果

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

共役系なので、二重結合性が高いと考えられます。炭素ー炭素結合は、一重結合→二重結合→三重結合の順に「短く」なります。エタンの炭素ー炭素原子間は一重結合なので、それよりは短いと考えられます。正解は 3~5 です。

共役系の二重結合が増えると遷移しやすくなるため、遷移に必要な光の「エネルギーは小さく」なります。エネルギーが小さいということは「波長は長い」ということです。よって、㋒が「長波長」です。

記述のように、長波長側へのシフトを深色(しんしょく)効果と呼びます。レッドシフトとも呼ばれます。逆に短波長側へシフトすると、浅色(せんしょく)効果です。ブルーシフトとも呼ばれます。

以上より、正解は 3 です。

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