公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.58解説

 問 題     

我が国における再犯・再非行の防止に向けた取組や動向に関する記述A~Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。なお,データは『平成28 年版犯罪白書』による。

A.平成26 年,警察庁は,「宣言:犯罪に戻らない・戻さない~立ち直りをみんなで支える明るい社会へ~」を決定し,「2020 年までに,犯罪や非行をした者の事情を理解した上で雇用している企業の数を5 倍にする」,「2020 年までに,帰るべき場所がないまま刑務所から社会に戻る者の数を5 割以上減少させる」という二つの数値目標を設定した。

B.平成28 年,再犯の防止等の推進に関する法律が成立した。同法では,再犯の防止等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,政府において再犯防止推進計画を定めることを義務付けただけではなく,都道府県及び市町村においても再犯防止推進計画を勘案して地方再犯防止推進計画を定めるよう努めることとされた。

C.平成23 年の出所受刑者*1について, 5 年以内の再入率*2は約6 割であり,罪名別の再入率では,「強姦・強制わいせつ」が約8 割と最も高かった。また,前回入所したときと同一罪名で再入所した者の割合は,「強姦・強制わいせつ」が最も高く,次いで,「詐欺」,「覚せい剤取締法違反」,「窃盗」の順であった。

D.刑法犯により検挙された少年のうち,再非行少年*3の人員及び再非行少年率*4について平成16 年から平成27 年までの推移をみると,再非行少年の人員は毎年減少しているが,再非行少年率は毎年上昇を続けている。

*1 仮釈放又は満期釈放により刑事施設を出所した者に限る。

*2 平成23 年の出所受刑者の人員に占める,同年から平成27 年の年末までに再入所した者の人員の比率をいう。

*3 前に道路交通法違反を除く非行により検挙(補導)されたことがあり,再び検挙された少年をいう。

*4 少年の刑法犯検挙人員に占める再非行少年の人員の比率をいう。

1.A,B
2.A,C
3.B,C
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
犯罪や非行をした者の事情を理解した上で雇用している企業数の数値目標は「3倍」です。5倍ではありません。また、帰るべき場所がないっま刑務所から社会に戻る者の数の数値目標は「3割以上減少」です。5割以上ではありません。記述 A は誤りです。

記述 B は妥当です。
再犯の防止等の推進に関する法律についての記述です。

記述 C ですが
5年以内の再入率は約 4 割です。再入率が高いものとしては「覚せい剤関連」が思い浮かぶのではないでしょうか。最も再入率が高い覚せい剤取締法違反でも、再入率は 5 割付近です。記述 C は誤りです。

記述 D は妥当です。
再非行少年についての記述です。

以上より、正解は 4 です。

コメント