公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.48解説

 問 題     

我が国の犯罪被害者等施策に関する記述 A~D のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

A.平成20 年の更生保護法の施行によって,犯罪被害者等施策が初めて実施されることとなった。同法では,「犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し,もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。」と規定されている。

B.更生保護法に基づき,平成28 年に「第3 次犯罪被害者等基本計画」が策定され,その具体的施策として,損害回復・経済的支援等への取組,精神的・身体的被害の回復・防止への取組などが掲げられた。同法における「被害者等」は,被害者本人又は法定代理人に限定されている。

C.更生保護法において,「被害者等の意見等の聴取」は,地方更生保護委員会が,仮釈放や仮退院を許すか否かに関する審理を行うに当たり,被害者等から,審理対象者の仮釈放等に関する意見等を述べたい旨の申出があったときに,当該意見等を聴取するものである。

D.更生保護法において,「被害者等の心情等の伝達」は,被害者等から被害に関する心情等の伝達の申出があったときに,当該心情等を聴取した上で,保護観察所の長が適当と認めた場合に限り,保護観察官立会いの下,被害者等が加害者の面前で伝達することができるとされている。ただし,加害者が少年の場合には,心情等の伝達の対象から除外される。

1.C
2.D
3.A,B
4.A,C
5.B,D

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 A ですが
犯罪被害者等施策とは、犯罪被害者等が、受けた被害を回復、又は軽減し、再び平穏な生活を営めるよう支援し、及び犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続きに適切に関与することができるようにするための施策をいいます。具体的には、犯罪被害給付制度などがあげられます。

犯罪被害者等給付金支援は 1981 年から始まっています。更生保護法の施行で初めて犯罪被害者等施策が実施されたわけではありません。記述 A は誤りです。

記述 B ですが
犯罪被害者等基本法によれば「犯罪被害者等」とは、犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族です。「本人又は法定代理人に限定されている」というわけではありません。記述 B は誤りです。

記述 C は妥当です。
被害者等の意見等の聴取についての記述です。

記述 D ですが
心情等伝達制度は、被害者の申出により、被害者担当の保護観察官が、被害者から被害に関する心情を聴取し、加害者を処遇する保護観察官が、それを加害者へと伝える制度です。「被害者等が加害者の面前で伝達できる」という制度ではありません。また、少年に対しての除外はありません。記述 D は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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