公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.43解説

 問 題     

社会保障の歴史に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.英国では,行政組織による全国的な公的扶助制度が世界で初めて実施されたといわれている。1601 年に制定されたエリザベス救貧法では,院外救済の原則,劣等処遇の原則,救貧行政の中央集権化の原則が示され,労働能力のない者に限定して救済が行われた。

2.ドイツでは,東西統一を果たした19 世紀後半にエーデル改革が行われ,世界で最初の社会保険制度である国民保健サービス法(NHS)が制定された。その後,災害補償法,養老(老齢)及び廃疾(障害)保険法が制定された。

3.米国では,世界恐慌によって公的扶助の必要性が高まり,失業保険や老齢年金保険などの社会保険制度や,低所得者に対して医療扶助を行う「メディケア」,高齢者や障害者に対して医療保障を行う「メディケイド」などの公的医療制度が創設された。その後,これらの制度が統合されて「社会保障法」が制定された。

4.英国では,1940 年代に,W.H.ベヴァリッジが社会保険の原則を示した。そこには,社会保険の対象者を全国民とし,対象者には均一拠出・均一給付を適用する均一主義の原則や,最低生活を保障するナショナル・ミニマムの原則などが含まれていた。

5.我が国では,大正時代に旧国民健康保険法,昭和初期に健康保険法が制定されたが,いずれも任意加入とされていたため,1950 年代半ばでは,国民の半数以上が無保険者であった。1958 年に国民健康保険法が全面改正となり強制加入とされた。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
前半部分は妥当です。世界初の公的扶助制度として、英国のエリザベス救貧法があります。この法律において、富裕者に救貧税が課せられ、働けない人にはお金を支給しました。また、労働能力のある貧困者は作業所に収容し、強制的に労働させられました。「労働能力のない者に限定して救済が行われた」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
東西統一は、1990 年です。エーデル改革は、スウェーデンにおける社会保障政策です。世界最初の社会保険法と呼ばれるのは、ドイツのビスマルクによる「疾病保険法」です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
米国で、世界恐慌(1929)の中、ニューディール政策(1930年代)の一貫として、1935 年に社会保障法が制定されました。メディケア、メディケイドは共に 1965 年から行われている医療扶助事業です。世界恐慌の頃ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
ベヴァリッジ報告についての記述です。

選択肢 5 ですが
大正時代に「健康保険法」、昭和初期に「旧国民健康保険法」です。法律の順番が逆です。その後 1958年に国民健康保険法が制定され、1961 年に全国の市町村で国民健康保険事業が始まり、いわゆる国民皆保険体制が確立しました。(参考 H28no50)。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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