公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.39解説

 問 題     

教授理論や学習理論に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.直観教授は,J.A.コメニウスが提唱したものである。彼は,基礎陶冶の理念の下で,認識の基本要素である「数,形,語」を抽出し,「曖昧な直観」から「明瞭な概念」へと至る認識過程の重要性を指摘した。

2.助教法は,J.ランカスターやA.ベルが提唱したものである。これは,多くの生徒に対して一斉に教授するために,学校が保護者をボランティアとして登録し,ボランティアが助教として教師と一緒に授業をするものである。この方法においては,教師が成績の優秀な生徒に対して高度な教育内容を指導する一方,ボランティアが理解度の低い生徒に対して基礎的な教育内容を指導することとされている。

3.四段階教授法は,W.ラインとT.ツィラーが提唱したものである。彼らは,心理学と社会学の理論に基づき,教授の過程は認識の過程に即して段階付けられなければならないと考え,人間の認識は,「明瞭,連合,系統,方法」という四段階を経て獲得されるとした。

4.五段階教授法は,J.F.ヘルバルトが提唱したものである。彼は,学校教育に応用できる教育方法として「予備,提示,比較,総括,応用」という五段階の過程を示した。また,彼は,歴史・文学等から成る情操教育を排して,倫理学を中心教科とする「中心統合法」を示した。

5.問題解決学習は,生徒が自ら学習問題を捉え,それを主体的に解決しようとする中で,知識や技能を習得させる学習方法である。問題解決学習の方法原理の基礎は,J.デューイの「反省的思考」の論理などにあるとされている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
直観教授とは、実際の物や事象または絵画・模型・写真などを観察させ、具体的、感覚的に理解させる教育方法です。ルソー、コメニウスらが先駆者、ペスタロッチが展開、確立させました。「認識の基本要素である・・・認識過程の重要性を指摘した」のは、ペスタロッチです。コメニウスではありません。選択肢 1 は誤りです。(類題 H27no35)

選択肢 2 ですが
助教法は、ベル・ランカスター法とも呼ばれます。「生徒の中から」優秀な者を選び、教師のもと、助手のような役割で生徒の対応をして学習効果を上げる方法です。「保護者をボランティアとして登録」するわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 ですが
四段階教授法は「ヘルバルト」です。五段階が「ライン、ツィラー」です。選択肢 3,4 は誤りです。(類題 H27no31)

選択肢 5 は妥当です。

以上より、正解は 5 です。

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