公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.18解説

 問 題     

DSMー5( 精神疾患の診断・統計マニュアル)における心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.心的外傷的出来事への暴露とは,「実際に又は危うく死ぬ,重傷を負う,性的暴力を受ける」という体験をするだけではなく,その出来事に恐怖,無力感,戦慄といった感情的な反応が伴う必要があるため,出来事だけでなく個人の苦痛の程度にも注目することが重要である。

2.PTSD の臨床像は多様であるが,その症状は,過去の体験を意図せず繰り返し思い出して苦痛を感じる「再体験」,心的外傷に関わる事柄を避けようとする「回避」,気持ちが落ち着かず常に興奮している状態である「過覚醒」の三つの症状群から構成される。

3.外傷性の記憶は,断片的であり,苦痛を伴って想起される。DSM⊖5 では,心的外傷的出来事を再び体験するように想起する「フラッシュバック」は,現実見当識の喪失を伴わないものから,完全に喪失するものまで幅広く生じるとされている。

4.PTSD の患者は,心的外傷的出来事にまつわる記憶や思考,感情や人物,場所や状況等を持続的に回避しようとする。本人が意識的に思い出そうとすれば,心的外傷的出来事の詳細まで容易に想起されることから,この行動は,その恐怖や不安を避ける意図的な試みと解される。

5.PTSD の慢性化により,他者への攻撃的な言動,危険運転,アルコールや薬物の過剰摂取,自傷といった自己破壊的な行動が見られることがある。この状態では,活動性が亢進する分,気分の落ち込み等といった陰性の感情状態は体験されにくくなる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
心的外傷的出来事への暴露に「感情的な反応が伴う必要がある」ということはありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,5 ですが
DSM-5 によれば、PTSD の症状は大きく 4 つです。「再体験」「回避」「過覚醒」に加え「認知と気分の陰性の変化」があげられています。3つではなく、また、「陰性の感情状態は体験されにくくなる」という記述は誤りと考えられます。選択肢 2,5 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
フラッシュバックについての記述です。

選択肢 4 ですが
「本人が意識的に思い出そうとすれば…詳細まで容易に想起される」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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