公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.8解説

 問 題     

次は,「心の理論」と,「心の理論」の獲得の様相を明らかにするために使用される「誤信念課題」の実施場面に関する記述であるが,ア,イ,ウに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

一般に「心の理論」の獲得とみなされるのは,パーナー(Perner, J.)が主張する「ア」が獲得される幼児期の 4 〜5 歳頃である。さらに,児童期の 6 〜9 歳頃にかけて,入れ子になった複雑な心の状態を柔軟に読み取ることができるようになる。実験参加者(以下「参加者」という。)が二次の「心の理論」を獲得していないと判断することができるのは,次の「誤信念課題」の問答中,参加
者が イ のところで「ウ。」と答えたからである。

<誤信念課題>
実験者は参加者に次のストーリーを聞かせた。

ある朝,子供Aと子供Bは,公園でアイスクリーム屋さんと出会った。子供Aはアイスクリームを買いたいが,お金を持っていなかった。アイスクリーム屋さんが「午後も公園にいる。」と二人に伝えたため,子供Aは家にお金を取りに帰った。

ところが,アイスクリーム屋さんは,子供 Bに「教会に行く。」と告げて,公園を離れてしまった。アイスクリーム屋さんが教会へ向かう途中,子供Aの家の前を通った。アイスクリーム屋さんを見つけた子供Aは,家の窓からどこに行くのかと尋ねた。アイスクリーム屋さんは「教会に行く。」と答えた。その後,家に戻った子供 B が,宿題を教えてもらおうと子供Aの家を尋ねると,子供 A の母親から「子供 A はアイスクリームを買いに行った。」と聞かされた。参加者がこのようなストーリーを聞いた後,実験者と参加者は次のような問答を行った。

実験者:「子供 A はどこにアイスクリームを買いに行きましたか?」
参加者: C
実験者:「 子供Bに,『子供 A はどこにアイスクリームを買いに行きましたか?』と質問します。子供 B は何と答えるでしょうか?」
参加者: D

  ア  イ  ウ
1.象徴機能   C 教会
2.象徴機能   C 公園
3.象徴機能   D 教会
4.メタ表象能力 C 公園
5.メタ表象能力 D 教会

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

ア ですが
一般に、「自分や他者が何かを思い浮かべている状態」について思い浮かべることができるようになった状態を「心の理論の獲得」といいます。「メタ認知」が妥当です。象徴機能とは、ものごとや出来事を何らかの記号に置き換え、目の前にないときにも記号で認識する事です。代表例が「ことば」です。 幼児は1歳後半ぐらいから象徴機能が発達します。

イ、ウですが、本問の課題を図示すると、以下のようになります。

その後に、B が A の家を訪ね、A の母親から「 A ならアイスを買いにいったわ」と聞かされる というストーリーになります。

心の理論の有無に関わるポイントは「B の立場から考えると、 A が自宅でアイス屋と話をしていることについて知らないはずである」という点です。

心の理論が獲得されていない場合、子供 B に「子供  A はどこにアイスを買いに行った?」と聞いたらどう答える?という質問に対して「教会」という、ありえない解答をすると考えられます。つまり、イ は D、ウ は教会です。

以上より、正解は 5 です。

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