公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.6解説

 問 題     

ウェクスラー式知能検査に関する記述 A〜D のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.ウェクスラー式知能検査で測ろうとする知能は「学習する能力又は経験によって獲得していく能力」と定義される。この検査は,言語性の検査と動作性の検査の結果をプロフィールで表示することができ,個人内差という観点から知的発達の状態を分析的に測定する。

B.日本版 WISCーⅢ から日本版 WISCーⅣ への改訂において,言語性知能指数と動作性知能指数は廃止され,言語理解,知覚推理,処理速度,ワーキングメモリーの四つの指標が採用された。それまで基本検査に組み込まれていた「知識」,「算数」,「絵画完成」は補助検査となり,新たに「絵の概念」,「語音整列」,「行列推理」など五つの下位検査が加わった。

C.日本版 WISCーⅣ は, 5 歳 0 か月から16 歳 11 か月の子供を適用対象とする。この検査は,15 の下位検査から成るが,そのうち10 の基本検査の実施によって,全検査知能指数と四つの指標得点を算出することができる。

D.日本版 WAISーⅢ では,全検査知能指数と群指数の両方を求める場合,「絵画完成」,「単語」,「類似」,「積木模様」,「算数」,「行列推理」,「数唱」,「知識」の八つの基本検査に加え,「絵画配列」と「理解」を実施する。

1.A,B
2.A,C
3.A,D
4.B,C
5.B,D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
ウェクスラーによる知能の定義は「目的的に行動し、合理的に思考し、能率的にその環境を処理しうる総合的・全体的能力」です。「学習する能力又は経験によって獲得していく能力」という定義は、ディアボーンの定義です。また、ウェクスラー式知能検査では、言語性、動作性という区分に妥当性が見られず、かつては用いられていましたが、現在では使われていません。記述 A は誤りです。

記述 B は妥当です。
WISCーⅢからWISCーⅣへの改訂についての記述です。

記述 C は妥当です。(参考 H29no7)

記述 D ですが
WAISーⅢにおいて、全検査IQと4つの群指数を求めるために、合わせて 13 種類の基本検査が必要です。

ちなみに、記述 D であげられている8つに加え、『群指数を求めるため』に不足しているのは、作動記憶(WM)に関して「語音整列」の検査と、処理速度(PS)に関して「符号」「記号探し」の検査です。 この3つに、さらに、記述 D の最後にあげられる「絵画配列」と「理解」を加え、合計 13 の基本検査によって、全検査 IQ と 4 つの群指数を求めることができます。記述 D は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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