問 題
行政不服審査法に関する ア〜オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア.行政不服審査法は,一般概括主義を採用し,処分,不作為,行政立法,行政指導等の態様を問わず,広く行政作用全般について審査請求を認めている。
イ.地方公共団体に対する処分のうち,地方公共団体がその固有の資格において相手方となる処分には行政不服審査法の規定は適用されない。しかし,地方公共団体が一般私人と同様の立場で相手方となる処分には同法の規定は適用されると一般に解されている。
ウ.行政不服審査法は,国民の権利利益の救済に加えて,行政の適正な運営の確保も目的としていることから,審査請求をすることができる「行政庁の処分に不服がある者」について,必ずしも審査請求をする法律上の利益を有している必要はない旨を規定している。
エ.行政不服審査法の適用除外とされている処分等は,議会の議決によってされる処分等,その性質に照らしておよそ行政上の不服申立てを認めるべきでないと考えられたものであり,別の法令においても不服申立ての制度は設けられていない。
オ.地方公共団体の機関が行う処分のうち,法律に基づく処分については行政不服審査法の規定が適用されるが,根拠規定が条例に置かれている処分については同法の規定が適用されない。
1.イ
2.ア,オ
3.イ,エ
4.ア,イ,ウ
5.イ,ウ,オ
解 説
記述 ア ですが
行政不服審査法が、一般概括主義という部分は妥当です。行政不服審査法は、審査請求、再調査請求、再審査請求という3種類の不服申立手続を規定しています。行政不服審査法の対象は、処分及び不作為です。行政指導は、処分とみなされるものもありますが、行政立法は明らかに処分ではありません。記述 ア は誤りです。
記述 イ は妥当です。
記述 ウ ですが
「処分に不服がある者」が審査請求できます。判例によれば、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうとされています。従って、法律上の利益を有している必要があると考えられます。記述 ウ は誤りです。
記述 エ ですが
行政不服審査法 第 8 条より、「前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない」とあります。従って、別の法令において不服申立て制度が設けられることもあります。例としては、地方自治法に審決の申請制度が定められています。記述 エ は誤りです。
記述 オ ですが
地方公共団体の機関が行う処分のうち、根拠規定が条例に置かれている処分についても、根拠規定が法律に基づく処分と同様に考えます。行政不服審査法の規定は適用されます。記述 オ は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
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