公務員試験 H29年 国家専門職(食品衛生監視員) No.1分析化学Ⅱ(1)解説

 問 題     

次の記述の Ⓐ~Ⓚ に当てはまるものを語群から選び出し、それぞれの番号を記せ。

「原子が高温状態に置かれると、熱エネルギーによりⒶ 状態に移行した後、Ⓑ 秒程度の時間のうちに元のⒸ 状態に戻る。この際に、そのエネルギー差に対応した光がⒹ される現象を利用して、微量元素の測定を行う手法を原子発光分析という。得られるスペクトル線のⒺ は元素に固有であり、そのⒻ は試料中の元素濃度に比例するため、定性及び定量分析が可能である。

フレーム法は、水素やⒼ ガスのフレーム(化学炎)を用いて原子に熱エネルギーを与える方法であり、温度がⒽ K 程度と比較的低いため、アルカリ金属やⒾ の分析にのみ利用が可能である。他方、高周波誘導結合プラズマ(ICP)法は、高周波放電により生成したⒿ ガスプラズマを用いるもので、最高温度はⓀ K に達するため、ほとんどの元素の分析が可能である。」

<語群>①基底、②平衡、③励起、④10-2、⑤10-8、⑥吸収、⑦透過、⑧放射、⑨強度、⑩波長、⑪アセチレン、⑫アルゴン、⑬ヘリウム、⑭アルカリ土類金属、⑮重金属、⑯300、⑰1000、⑱3000、⑲10000

 

 

 

 

 

 解 説     

原子発光分析法についての記述です。原理は、原子を高温状態に置くことで、高エネルギーで不安定な励起状態に移行させることができます。この状態は、限りなく短い時間でエネルギーを放出して、元の基底状態に戻ります。原子に対応して、遷移状態と基底状態のエネルギー差が異なるため、放出される光の波長は、原子によって固有です。また、光の強度は元素濃度に比例します。

試料に熱を与える代表例が、フレーム法です。水素やアセチレンガスのフレーム(化学炎)を用いて熱エネルギーを与えます。温度は 2000 ~ 3000K 程度です。また、アルゴンプラズマを用いる ICP(Inductively Coupled Plasma) 法は、高周波放電により生成したアルゴンガスのプラズマを用いるもので、最高温度は 10000K 付近にまで達します。非常に高温のため、ほとんどの試料を励起状態の元素にすることができます。

以上より
A 励起 ③
B 10-8
C 基底 ①
D 放射 ⑧
E 波長 ⑩
F 強度 ⑨
G アセチレン ⑪
H 3000 ⑱
I アルカリ土類金属 ⑭
J アルゴン ⑫ です。

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