問 題
大日本帝国憲法や日本国憲法に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.大日本帝国憲法は,社会権を確立したドイツのワイマール憲法をモデルとし,社会権の一つである生存権を保障していたが,日本国憲法は,生存権のほかに労働基本権や教育を受ける権利といった社会権についても保障している。
2.大日本帝国憲法においては,憲法上の諸権利には,法律の認める範囲内で保障されるにすぎないという法律の留保があった。それに対して,日本国憲法においては,経済的自由及び財産権についてのみ,明文で法律の留保が付されている一方で,その他の基本的人権についてはいかなる制約にも服さないとされている。
3.第二次世界大戦前には男女の選挙権が憲法上認められていたが,有権者の範囲は一定額以上の納税者に限られていた。日本国憲法には選挙権に関する明文の規定はないものの,公職選挙法において選挙権の平等が定められており,納税額による選挙権の制限は法律上禁止されている。
4.大日本帝国憲法の下では,内閣総理大臣は内閣における同輩中の首席にすぎず,他の国務大臣と対等の地位にあり,他の国務大臣を任命・罷免する権限を有していなかったが,日本国憲法においては,内閣総理大臣は内閣における首長とされ,他の国務大臣を任命・罷免する権限を有している。
5.日本国憲法は地方自治の本旨として,地方自治の基本的な考え方を示しており,それは,地域の住民が中央政府に対して自立した地方公共団体をつくり,地方政治を行うという住民自治と地方公共団体の運営に住民が参加し,自治を行うという団体自治の二つの側面から成っている。
解 説
選択肢 1 ですが、大日本帝国憲法は、生存権を保障していません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが、基本的人権であっても、公共の福祉による制約があります。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが、1925 年に財産による差別はなくなりました。しかし、女性に選挙権が認められたのは戦後です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、妥当な記述です。
選択肢 5 ですが、住民自治と団体自治についての記述が逆です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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