問 題
中国の思想家等に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.韓非子は,刑罰や道徳に基づいて国家を治める法治主義を説き,為政者が褒美や罰を用いて臣下を操ることの必要性を強調した。また,戦争の理論や戦術を研究し,国が富国強兵を図る道を説いた。
2.孟子は,人間の生まれつきの本性は善であるという性善説を説いた。また,仁義の徳によって民衆の幸福を図る王道を政治の理想とし,民衆の支持を得た指導者が新しい王朝を建てる易姓革命の思想を説いた。
3.老子は,「大道廃れて仁義あり」として,他者も自分と同じ人間であることを認め,他者を愛する心を持つことを説いた。また,人間の行うべき道徳の規範として,人倫の道に沿った生き方をするよう説いた。
4.荘子は,自他を区別しない無差別平等な人間愛を持つ人間を真人と呼び,人間愛によって侵略行為を否定する非戦論を説いた。さらに,自らが蝶になった夢を見たという「胡蝶の夢」を引用して,あらゆる生き物(万物)を大切にするよう説いた。
5.荀子は,人間の心の本性は天が授けた理であるという心即理を説いた。その上で,魂の備えるべき徳が何かを知れば,徳についての知識に基づいて誰でも正しい生き方へと導かれるという知徳合一を説き,道徳の基本とした。
解 説
選択肢 1 ですが、韓非子は法治主義です。「道徳に基づいて」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、妥当な記述です。
選択肢 3 ですが、老子→「大道廃れて仁義あり」まではOKです。しかし、以降の記述は「仁」「礼」についてです。これらを説いたのは孔子です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが、莊子が唱えたのは、目的意識に縛られない自由な境地、無為自然です。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが、心即理は陽明学です。荀子は性悪説です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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