公務員試験 H29年 国家専門職(教養) No.35解説

 問 題     

第一次世界大戦後から第二次世界大戦前までの各国に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.アメリカ合衆国は,ウィルソン大統領が提案した国際連盟の常任理事国となり,軍縮や国際協調を進める上で指導的な役割を果たした。世界恐慌が始まると,フーヴァー大統領がニューディールと呼ばれる政策を行い,恐慌からの立ち直りを図ろうとした。

2.ドイツは,巨額の賠償金の支払などに苦しみ,政治・経済は安定せず,ソ連によるルール地方の占領によって激しいインフレーションに襲われた。この危機に,シュトレーゼマン外相は,ヴェルサイユ条約の破棄,ドイツ民族の結束などを主張し,ドイツは国際連盟を脱退した。

3.イタリアは,第一次世界大戦の戦勝国であったが,領土の拡大が実現できず,国民の間で不満が高まった。世界恐慌で経済が行き詰まると,ムッソリーニ政権は,対外膨張政策を推し進めようとオーストリア全土を併合したが,国際連盟による経済制裁の決議の影響を受けて,更に経済は困窮した。

4.イギリスでは,マクドナルド挙国一致内閣が金本位制の停止などを行ったほか,オタワ連邦会議を開き,イギリス連邦内で排他的な特恵関税制度を作り,それ以外の国には高率の保護関税をかけるスターリング(ポンド)=ブロックを結成した。

5.ソ連では,レーニンの死後,スターリンがコミンテルンを組織して,世界革命を主張した。スターリンは,五カ年計画による社会主義建設を指示し,工業の近代化と農業の集団化を目指したが,世界恐慌の影響を大きく受けて,経済は混乱した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが、国際連盟は、提唱国アメリカが不参加です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、シュトレーゼマン外相はデノミーション(通貨単位の変更)などでインフレを沈静化しました。民族結束主張、国際連盟脱退等を行ったわけではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、三国同盟側(ドイツ・オーストリア・イタリア)が降伏なので、イタリアは戦勝国ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、妥当な記述です。

選択肢 5 ですが、スターリンは「一国社会主義論」を唱え、世界革命論を否定しました。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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