公務員試験 H29年 国家専門職(教養) No.34解説

 問 題     

我が国の文化の歴史に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.飛鳥文化は,主に天武天皇により広められた仏教中心の文化を基本としつつ,渡来人の活躍により,隋の影響を強く受けた文化である。大仏の鋳造も広く行われるようになり,その代表的なものとして唐招提寺の盧舎那仏(るしゃなぶつ)が挙げられる。

2.天平文化は,平城京を中心として栄えた貴族文化で,唐の影響を受けた国際色豊かな文化である。また,仏教によって国家の安定を図るという鎮護国家思想が重んじられ,中央には東大寺,地方には国分寺・国分尼寺が造営された。

3.国風文化は,大陸文化に日本人のし好を加味した優雅で洗練された文化であり,13 世紀に生まれた。それまでの漢字文化から脱して,かな文字が発達し,自由な表現が可能となったことから,新古今和歌集や十六夜日記といった文学作品が生まれた。

4.鎌倉文化は,伝統文化を受け継いだ公家が担い手になったほか,武士や庶民にも支持された。武士や庶民などを対象として,法然の浄土真宗,空海の真言宗など,いわゆる鎌倉新仏教が生まれ,それらの布教活動が盛んに行われた。

5.桃山文化は,戦国大名や豪商の気風を反映して,覇気と生命感にあふれた力強い文化である。戦に備え山城を中心とした城郭建築や,墨の濃淡を用いた濃絵(だみえ)による障壁画などが特徴とされ,オランダ人の来航を機にもたらされた南蛮文化の影響も受けた。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、飛鳥文化は 7 世紀前半、最初の仏教文化です。高句麗や中国南北朝時代などの文化の影響を強く受けています。「隋の影響」ではありません。また、代表的なものは飛鳥寺の飛鳥大仏などです。盧舎那仏ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、国風文化は 10~11 世紀、平安中期の文化です。 13 世紀は少し遅すぎると判断したいところです。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、鎌倉文化の特徴として、武士の影響も見られ素朴で力強さが見られる文化である点があげられます。また、空海の真言宗は平安時代初期で、鎌倉新仏教ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、濃絵は、狩野派に代表されるカラフルな絵です。墨の濃淡で描いたわけではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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