公務員試験 H29年 国家専門職(教養) No.33解説

 問 題     

生物の個体群に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.個体群の成長の変化の過程を表した成長曲線を見ると,時間の経過につれて,食物や生活空間などに制限がない場合には個体数が際限なく増加していくが,制限がある場合には,成長曲線は逆U字状となり,最初は急速に個体数が増加していくものの,ある一定の個体数に達すると,その後は急速に減少する。

2.年齢ピラミッドは,個体群を構成する各個体を年齢によって区分し,それぞれの個体数を積み重ねて図示したものであり,幼若型と老齢型の二つの型に大別されている。年齢ピラミッドの形からは,個体群間の年齢層を比較できるが,個体群の将来的な成長や衰退などの変化を予想することはできない。

3.動物は,同種の個体どうしで群れを作ることによって,摂食の効率化や繁殖活動の容易化などの利益を得ているが,一定の大きな群れになると敵から見付かりやすくなり,攻撃される危険性が高まる。このため,外敵から身を守るよう,群れは無限に大きくなる傾向がある。

4.種間競争は,食物や生活場所などの要求が似ている異種個体群間で生じる。個体群間の生態的地位(ニッチ)の重なりが大きいほど,種間競争は激しくなるが,ニッチがある程度異なる種どうしであれば共存は可能である。

5.異種の生物が相手の存在によって互いに利益を受けている関係を相利共生といい,一方は利益を受けるものの他方は不利益を受ける関係を片利共生という。片利共生の場合において,利益を受ける方の生物を宿主という。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが、逆 U 字ではなく、S 字です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、年齢ピラミッドの形から将来的な成長、衰退は予想できます。日本の人口ピラミッドの変遷を思い出すと判断できるのではないでしょうか。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、群れは大きすぎるとデメリットもあるため、適切な大きさに落ち着く傾向が見られます。無限に大きくなる傾向ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、妥当な記述です。

選択肢 5 ですが、利益を「与える」側が宿主です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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