公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.18解説

 問 題     

果樹の栽培管理に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.間引きせん定する枝の量が多い場合や,切り返しせん定する部位が枝の基部に近い場合を,強せん定と呼ぶ。ウンシュウミカンの場合,果実を多くつける表年の樹では,部分的に強い切り返しせん定を行って,翌年に結果母枝となる発育枝を確保する。

2.高接ぎ更新は,現在栽培している品種の幹に発根しやすい枝を接ぐ方法である。接ぎ木は,台木と穂木の木部どうしを接着させ,カルスが形成されることで結合する。

3.同一品種の花粉を受粉しても受精しない性質を自家不和合性といい,リンゴ,モモ,ナシなどの大部分の品種がこれに当たる。ブドウは雌雄異花で雄花を持たない品種が多く,花粉供給用の品種を混植する必要がある。

4.摘果の基準には,1 葉当たりの果実数である葉果比が用いられる。リンゴの摘果は,一般に2段階に分けて, 1 回目は側果を残して摘果し, 2 回目は最終的な果実数になるように行う。

5.果実の収穫前に葉の光合成を盛んにして,果実の肥大を促進するために窒素を主体に施用することを礼肥と呼ぶ。施肥は土壌施用が一般的であるが,葉面散布も行われる。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
高接ぎ更新は、接ぎたい木の高い部分を、台木に接ぐ方式です。「発根しやすい枝」を接ぐというのは妥当ではないと考えられます。また、「形成層同士」を接着させます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
自家不和合性は、リンゴ、ナシなどが代表例です。モモは妥当ではありません。また、ブドウは自家不和合性がなく、風媒花です。混植の必要性はないと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
1回目の予備摘果では「中心果」を残し、側果を落とします。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
礼肥とは「収穫後」の追加肥料です。消耗した樹勢回復が目的です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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