公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.10解説

 問 題     

作物の光合成に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.光合成に利用される日射を光合成有効放射と呼び,その波長領域は 700~1,500 nm 前後である。これらの波長領域は,肉眼では短い波長から順に赤色~青・紫色として認識される。

2.植物は CO2 の固定・還元経路によって C3 植物と C4 植物に区分される。前者にはイネ,トウモロコシなどが,後者にはコムギ,ダイズなどがあり,一般に,C3 植物は C4 植物よりも光合成能力が高い。

3.総光合成速度とは,純光合成速度から呼吸速度を差し引いた数値である。総光合成速度がゼロのときの光強度を光補償点という。

4.光強度の増加につれて光合成速度は増加する。作物の種類や温度などの環境によって値が異なるものの,光合成速度がこれ以上増加しなくなるときの光強度を,光飽和点と呼ぶ。

5.CO2 濃度は,光合成速度と呼吸速度に影響を与える。我が国では,ハウスなどの閉鎖空間で CO2 施用が行われており,その濃度は,経済性,安全性から 5,000 ppm 前後が一般的である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
可視光線の中では、波長が長い「赤」、短い「紫」です。よって「短い波長から順に赤~」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
一般に C4 植物の方が、光合成能率の高い植物です。C4 の例がトウモロコシです。イネ、コムギ、ダイズは C3 植物の例です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
「「純」光合成速度」が「真の光合成速度ー呼吸速度」です。つまり、観察される CO2吸収速度です。これが 0 になるときの光強度が光補償点です。「「総」光合成速がゼロのときの光強度」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
作物にもよりますが、400~1000ppm 程度が一般的と考えられます。ちなみに、大気中の CO2 濃度は 約 0.035% なので、 350ppm です。選択肢 5 は誤りと考えられます。

以上より、正解は 4 です。

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