公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.5解説

 問 題     

「平成28 年版 食料・農業・農村白書」(農林水産省)において用いられている用語の説明として最も妥当なのはどれか。

1.遺伝資源とは,植物・動物・微生物等あらゆる生物に由来する素材であって,現実の,又は潜在的な価値を有するものとされており,例えば,農業では,品種改良の素材として活用される作物が挙げられる。

2.温室効果ガスとは,太陽から放射された紫外線の一部を吸収することにより,地表を暖める働きがあるとされるもので,京都議定書では,水田等から発生する窒素,家畜排泄物等から発生する一酸化二窒素を温室効果ガスとして削減の対象としている。

3.耕作放棄地とは,不動産登記法における地目の区分であり,以前耕地であったもので,過去5年以上作物を栽培せず,今後数年の間に所有者自身が再び耕作する意思のない土地をいう。一方,過去5 年間作付けしなかったが,今後数年の間に所有者自身が再び耕作する意思のある土地は不作付地といわれる。

4.農業水利施設は,用水の供給を目的とするかんがい施設と,過剰な水,肥料や農薬の排除を目的とする排水施設に大別される。かんがい施設には,ダム等の貯水施設や,用水路,上・下水道等の送水・配水施設があり,排水施設には,排水路,排水機場等がある。

5.農地の集積とは,水田の裏作として麦類を導入すること等により,耕地利用率を上げることをいい,農地の集約化とは,露地野菜等の園芸作物を導入することや食品加工等に取り組むことにより収益を向上させることをいう。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
温室効果ガスは「赤外線」の一部を吸収です。また「窒素」は温室効果ガスではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
耕作放棄地とは過去「1年」以上作物を栽培せず、数年の間に再耕作の意思なき土地と定義されています。不作付地も「1年」です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「肥料や農薬の排除を目的」とする排水施設ではないと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
農地の集積は「利用する農地面積拡大」です。耕地利用率の上昇ではありません。農地の集約化とは「農地の利用権を交換すること等により、農作業を連続的に支障なく行えるようにすること」です。収益向上ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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