公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.2解説

 問 題     

農業気象災害に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.風害対策として有効なものに防風林があり,その風下で風速が5 割以下に減衰される距離は,防風林の高さの 40 倍程度までである。また,防風林は密閉度が高いものほど風速の復元が遅く,風を効果的に遮ることができる。

2.ひょう害は,農業気象災害の中でも急性的かつ広域的な災害の一つである。発達した乱層雲からひょうが発生し,雷や強い風雨を伴うことが多い。被害が甚大な場合には,収穫皆無になることもある。正確な発生の予測は難しく,現状では農作物被害軽減のための具体的な対策はない。

3.水稲の冷害には,障害型,遅延型の二つがある。障害型は,生育期間全般の天候不順に伴う低温によって登熟不良になるものである。遅延型は,幼穂形成期から出穂・開花期にかけての低温によって不稔が発生し減収するものである。冷害の被害程度は,品種間による差が小さい。

4.河川の氾濫によって農耕地に河川水が流入した場合,イネでは圃場内の冠水によって生育遅延などが発生する。冠水による被害の程度は,生育段階,冠水時間,水深,水温,水の清濁,流速などに左右される。

5.我が国における干害による作物被害の発生状況をみると,乾燥風によるものと少雨による土壌水分欠乏によるものがほぼ半々となっている。作物によって干害に対する抵抗性は異なる。陸稲は,畑作物の中では干害に最も強い作物の一つである。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
一般に樹木の高さを H とすると、20H 程度まで風を和らげる効果があるとされています。「40倍程度」という記述は妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ひょう害は「局地的」な災害です。「広域的」は妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
前半の記述は「混合型」、後半の記述は「障害型」と考えられます。また、冷害の被害程度は品種間で差が「大きい」と考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
干害に強い作物といえば大豆などです。陸稲は干害で収量が大幅に減少することが知られています。「干害に最も強い」という記述は妥当ではないと考えられます。

以上より、正解は 4 です。

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