公務員試験 H29年 国家一般職(化学) No.43解説

 問 題     

図Ⅰのように,質量流量 0.30 kg・s-1 で流れている 90 ℃ の液体 A を,質量流量 0.33 kg・s-1 で20 ℃ の水が導入されている二重管式熱交換器を用いて冷却したところ,水の出口温度は 60 ℃,Aの出口温度は 30 ℃ となった。

図Ⅱのように,二重管式熱交換器の向きを逆にして,水をA と同じ方向に流した場合,A の理論上の最低出口温度はおよそいくらか。ただし,水とA の比熱容量は,いずれも温度によらず一定であり,水の比熱容量を 4.2 × 103 J・kg-1・K-1 とする。また,外部への熱損失はないものとする。

1. 24 ℃
2. 30 ℃
3. 36 ℃
4. 48 ℃
5. 60 ℃

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

高温側において、「流量×比熱×温度差」分の熱量が奪われており、低温側において、「流量×比熱×温度差」 分の熱量を得ています。

一定時間経過後なら、これが等しくて安定しているはずなので、図Ⅰより
「0.3 × ? × (90 – 30) = 0.33 × 水の比熱 × (60 – 20)」が成立します。ここから、液体 A の比熱について、0.33 = 1/3 と考えれば、18 × ?  = 40/3 × 水の比熱 とわかります。従って、液体 A の比熱は、水の比熱の 約 1.4 倍弱です。

冷却側の出口の温度は
「Tcool out = Tcool in + 比熱の比×流量の比×ΔT高温側試料です。

「比熱の比×流量の比」の所を計算すれば、大体 1/1.35 です。従って、水の温度差を Tcool out ー T cool in = 「Δcool」 とおくと、Δcool = 1/1.35 ΔT高温側試料 です。これをふまえ、各選択肢を検討します。

二重管式熱交換器においては、向きが逆な方が冷却効率がよいことは知識です。従って、選択肢 1,2 は明らかに誤りです。

選択肢 3 を正解と仮定して、36 ℃とすると
Δ cool が 16 ℃なので、Δ T高温側試料が 20℃ぐらいということになり、高温側の試料が、70 ℃で出てきていることになります。常識的に考えて、90 ℃と 20 ℃の中間である55 ℃より冷えるはずです。よって誤りです。

次に、選択肢 4 を正解と仮定して、48 ℃とすると
Δ cool が 28 ℃です。すると ΔT高温側試料が40℃弱です。50 ℃付近まで下がっており、妥当ではないかと考えられます。

以上より、正解は 4 です。
 
ちなみに「Tcool out = Tcool in + 比熱の比×流量の比×ΔT高温側試料」を知らなかったり、導出できなくても、以下のように推測するとよいです。

まず、仮に比熱も流量も同じであれば、図Ⅱの装置は、高温の液体と低温の水を単に一気に混合したような装置です。従って、大体 90 ℃と 20 ℃の中間である55 ℃ぐらいだろうと推測できます。

そして
「流量は低温側の方が多めで、より冷える方向」、「比熱は A の方がやや大きいため、少し冷えない方向」、「単に混ぜるよりは、液体が流れる中で失われる熱量もあって、より冷える方向」といった要素をふまえると、選択肢からは 4 の 48℃が妥当ではないかと、推測できるのではないでしょうか。

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