公務員試験 H29年 国家一般職(化学) No.19解説

 問 題     

BET 吸着等温式に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「粉末状の固体の表面積を求める手法として利用される BET 吸着等温式 は、( ㋐ ) 吸着を仮定している。測定に用いる吸着質は、吸着媒との吸着によるエンタルピー変化が十分( ㋑ )気体であることが求められ、標準的な測定においては ( ㋒ ) が選ばれる。」
 
    ㋐     ㋑    ㋒
1.単分子層  大きい  H2O
2.単分子層  小さい  N2
3.多分子層  大きい  H2O
4.多分子層  大きい  N2
5.多分子層  小さい  N2

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

BET 式は、粉体粒子の比表面積を求めるために用いる式です。ちなみに、単分子の吸着量に関してはラングミュア-式が成立します。以下の式です。

※fは最大吸着量に対する吸着量の割合
※ aは定数、p は圧力

ラングミュア-式を、多分子層にまで拡張させた吸着量に関する方程式が BET式 です。

但し

※ Vは、吸着気体の堆積。Vmは、1層覆うのに必要な気体の体積
※ Cは吸着熱及び液化熱をパラメータとして含む、系により定まる定数。
※ pは気体の圧力。psは、飽和蒸気圧

従って、㋐は多分子層です。

㋑ですが
もしも吸着媒とのエンタルピー変化がとても大きかったとしたら、吸着に伴う熱が大きいということであり、温度が変化すると「等温式」という言葉と矛盾が出ると考えられます。よって小さいではないかと推測されます。

吸着においてエンタルピー変化が十分小さいのは、水か窒素か と言われれば反応性に乏しい窒素の方がより適切ではないかと考えられます。

以上より、正解は 5 と考えられます。

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