公務員試験 H29年 国家一般職(教養) No.40解説

 問 題     

発展途上国への援助等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.後発発展途上国とは,財政事情の悪化などにより,2000 年まで発展途上国とみなされていなかった国のうち,それ以降に新たに発展途上国として国際連合から認定された国を指し,東南アジアの国々がその代表例として挙げられる。

2.発展途上国援助に関連する組織として,発展途上国援助の調整を行う開発援助委員会(DAC)や,世界銀行加盟国の一部によって活動が開始され発展途上国の中でも最も貧しい国々を対象として支援を行う国際開発協会(IDA)がある。

3.発展途上国と先進国との間の経済格差の問題を南北問題というが,近年では,発展途上国の中でも急速な経済成長を遂げた新興工業経済地域と,先進国との間で,発展途上国で産出される資源の獲得競争が問題となっており,これを南南問題という。

4.先進国側の働きかけにより,国連貿易開発会議(UNCTAD)が設立され,先進国と発展途上国との間の貿易拡大などが協議されたが,発展途上国では,先進国からの輸入品に対し関税面で優遇する一般特恵関税が義務付けられたため,両国間の経済格差が拡大した。

5.資源価格の高騰を背景に,欧州諸国に多額の資金を貸し付けていた中南米諸国では,1980 年代に欧州諸国の一部が債務不履行の危機に陥ったことで累積債務問題が表面化し,救済策として債務繰延べなどが行われた。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、後発発展途上国とは「特に開発が遅れている国」です。多くはサハラ以南アフリカです。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、南南問題とは、発展途上国間における格差が生じてきたことによる、南の諸国間の問題のことです。「先進国との間」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、「一般特恵関税」は、先進国が開発途上国から輸入する際の関税率引き下げです。目的は開発途上国の支援です。これにより両国間の経済格差が拡大した、という記述は誤りです。

選択肢 5 ですが、中南米諸国が資金をすごく借りていて、金利が急に高くなったため、利子が払えなくなってしまったというのが 1980 年代の累積債務問題です。「欧州諸国に多額の資金を貸し付けていた」わけではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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