公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.58解説

 問 題     

次のア,イ,ウは,近代社会及び現代社会に関する記述であるが,A,B,Cに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

ア.J.ボードリヤールは,著書『消費社会の神話と構造』において,現代社会における様々な商品は,その使用価値としてよりも,何か別のものとの差異を表示するものとしてやりとりされており,現代社会は,商品のデザインやイメージといったA 的な差異へと向かう欲望に駆り立てられているとした。

イ.J.F.リオタールは,著書『ポスト・モダンの条件』において,第二次世界大戦以後の資本主義国における知の根本的な変化について検討し,知が「自由」や「解放」といったB によって正当化されている社会をモダン社会と呼ぶとすれば,そのような物語の失調によって特徴付けられるのがポストモダン社会であるとした。

ウ. C は,著書『社会学の新しい方法規準』において,構造化理論を主唱し,再帰性の概念を軸とした近代社会論を展開したほか,「第三の道」と呼ばれる新しい社会民主主義を理論的側面から支えた。

  A B C
1.機能 「小さな物語」 Z.バウマン
2.機能 「大きな物語」 Z.バウマン
3.記号 「大きな物語」 Z.バウマン
4.記号 「大きな物語」 A.ギデンズ
5.記号 「小さな物語」 A.ギデンズ

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 ア ですが
「使用価値としてよりも・・・」という部分をふまえると、機能ではないと判断できると思われます。A は「記号」が妥当です。

記述 イ ですが
「自由」や「解放」といった単語は、抽象的、一般的単語であるため、「大きな」物語が妥当と考えられます。B は「大きな物語」です。

記述 ウ ですが
「第三の道」を唱えたのは「ギデンズ」です。(H28no57)。Z.バウマンは「立法者と解釈者」、「造園管理人と猟場番人」、「固定化と液状化」といった例えを用いて、ポストモダン社会の考察を深める知識人の一人と言われています。

以上より、正解は 4 です。

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