公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.44解説

 問 題     

精神保健福祉法*1 に定める入院措置(平成28 年度末時点)に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.警察官,検察官,保護観察所の長,矯正施設の長には,精神障害者又はその疑いのある者を都道府県知事へ通報する義務が課せられているが,一般人が精神保健指定医の診察や必要な保護を都道府県知事に申請できる旨の規定は定められていない。

2.都道府県知事は, 2 人以上の精神保健指定医に診察をさせた結果,その者が精神障害者であり,かつ, 1 人以上の医師によって,医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自傷他害のおそれ*2  があると認められた場合には,その者を入院させなければならない。

3.都道府県知事は,精神障害者又はその疑いのある者について,急速を要し,通常の手続を採ることができない場合には,精神保健指定医の診察がなくても,24 時間に限ってその者を緊急に入院させることができる。

4.都道府県知事は,あらかじめ,精神障害者を措置入院させている精神科病院又は指定病院の管理者の意見を聞いた上で,当該入院者が入院を継続しなくてもその精神障害のために自傷他害のおそれがないと認められるに至ったときは,直ちに,その者を退院させなければならない。

5.措置入院となった精神障害者の入院に要した費用は,公的医療保険制度によって9 割が支給され,残りは自己負担することとされているが,その者の所得が政令で定める基準に満たない場合には,自己負担分を都道府県が全額負担する。

*1 正式には「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」

*2 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれをいう。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

精神障害者の入院形態は、大きく4つに分類されます。1:任意入院、2:医療保護入院、3:応急入院、4:措置入院/緊急措置入院です。

措置入院は、精神障害者が精神障害のために、入院させないと、自傷他害のおそれがある場合に行われます。「二人の指定医・都道府県の該当職員の立会い・家族に通知等」といった手続きがとれない場合に緊急措置入院→72時間以内の指定医診察 という流れがとられます。

選択肢 1 ですが
精神保健福祉法第22条によれば、だれでも診察や必要な保護を県知事に申請できます。また、警察官は、精神障害のために「自傷他害のおそれがある」者を認めた場合に通報義務です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
精神保健福祉法第29条によれば、2人以上の精神保健指定医の診察結果が「一致」することが措置入院の要件です。「かつ、1人以上の・・・」という部分が妥当ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
急速を要する場合は「指定する指定医をして診察をさせ」入院させることができます。つまり、2人の一致という要件が緩和されるが、診察なく入院はできないということです。また、この緊急措置入院は 72 時間を超えてはいけません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
第29条の4です。

選択肢 5 ですが
精神保健福祉法第30条によれば、措置入院の費用は都道府県が負担し、その3/4は国が負担します。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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