公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.31解説

 問 題     

西洋の思想家に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.F.フレーベルは,人間形成における環境要因を重視し,合理主義的経験論に基づく教育を実践した。彼は,性格形成学院を設立し,博愛精神に富んだ知的で合理的な環境を創造することで,労働者やその子弟の健全な性格形成を図ろうとした。

2.J.J.ルソーは,衣食から礼儀作法に至るまでを詳細に論じ,幼児期から一貫して厳格な教育がなされるべきであると主張した。彼は,生得観念を否定し,白紙説を唱えるとともに,『教育に関する考察』において貧民教育の重要性を訴えた。

3.M.モンテッソーリは,独自の人智学に基づき,人間の心と体の質的な変容を把握し,教育を芸術として再構成した。彼女は,世界初の幼稚園を創設したとされており,そこで恩物と呼ばれる独自の教具を用い,幼児教育を実践した。

4.J.F.ヘルバルトは,子供の自然なペースに即した発達を促す教育環境を準備することが重要であるとした。彼は,心理学や医学などの知見を取り入れ,観察,連合,表現の3 段階による総合教育を行った。

5.E.ケイは,『児童の世紀』において,教育の最大の秘訣は教育しないことにあると主張した。彼女は,児童の自由な発達を重視し,試験や体罰などに反対した。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
フレーベルは「人間の教育」の著者です。世界初の幼稚園設立者です。「性格形成学院」を設立したのはオーエンです。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ルソーは「エミール」の著者です。消極教育、自然教育を主張しました。白紙説を唱え、厳格な教育がなされるべきとしたというのは「ジョン・ロック」についてと考えられます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
「世界初の幼稚園創設者」、「恩物」といったキーワードから、記述はフレーベルについてです。モンテッソーリは知的障害児の教育で大きな成果をあげた人物です。ローマの貧民街に「子どもの家」を作りました。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ヘルバルトは「一般教育学」の著者です。教育学を体系的に理論化し、弟子らが「五段階教授法」として定式化しました。「観察、連合、表現」の3段階による教育を提唱したのは「ドクロリー」です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
ケイは児童中心主義を主張しました。

以上より、正解は 5 です。

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