問 題
DSMー5(精神疾患の診断・統計マニュアル)における食行動障害及び摂食障害群(Feeding and Eating Disorders)のうち,神経性やせ症/神経性無食欲症(Anorexia Nervosa)に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.摂食制限型と過食・排出型の下位分類があるが,後者は前者と異なり,るい痩そうを超えてもなお痩せようとする痩身願望はなく,自分のスタイルを自分の理想とするものに近付け,これを維持しようとする特徴がある。
2.患者が,①持続性のカロリー摂取制限,②体重の増加又は肥満になることの強い恐怖又は体重増加を阻害する行動の持続,③体重及び体型に関する自己意識の障害のうち,二つに該当することをもって診断できる。
3.体重の減少が見られ始めても,初めのうちは身体的活動性が上昇することが多く,それによりカロリー消費は増え,「痩せ」が一層進行することになり,患者はこれを肯定的に受け止める。しかし,BMI が25 以下となると,身体的活動性は徐々に低下し,本症と診断される。
4.身体的不調を自覚して,健康の回復のために痩せたい又は痩せなければならないと思い食事制限を開始した結果,必要以上に食事の量や種類が少なくなり,本症発症に至った場合は,重症に至ることはまれである。
5.身体面での著しい所見は,るい痩である。体重の減少に伴い,有意の低血圧,低体温,脈拍の低下,産毛(柔らかい体毛)の発生などのほか,飢餓状態に伴う様々な身体症状が発現することが多い。
解 説
選択肢 1 ですが
接触制限型、過食・排出型共に、最低限の正常体重を維持することも拒否しようとする特徴があります。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
①~③ の全てに該当することが診断基準です。二つに該当ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
BMI 「25」 でやせ症ではないだろうと判断できるのではないでしょうか。ちなみに BMI 25 とは、身長150cm であれば 約 56 kg、160cm であれば 約 64 kg です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
発症に至るきっかけに応じて、重症に至る頻度に差があるということは知られていません。選択肢 4 は誤りと考えられます。
選択肢 5 は妥当です。
るい痩とは、脂肪組織が病的に減少した症候をいいます。
以上より、正解は 5 です。
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