公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.13解説

 問 題     

フィン(Finn, S. E.)が提唱した治療的アセスメント(Therapeutic Assessment)に関する記述A〜Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.伝統的な情報収集的アセスメントでは,査定者が「完全に客観的な」観察者になることが目指されているのに対し,治療的アセスメントでは,アセスメントでの対人関係プロセスに対する「関与しながらの観察(participant observation)」を,クライエントの人生の問題を理解する重要な手段として位置付けている。

B.アセスメントの結果をフィードバックする際には,その後に話される結果を受け入れやすくするため,原則的にクライエントの肯定的な面についての情報から提示する。特に,クライエントの自己イメージが相当否定的である場合には,クライエントの自尊心を高めさせるため,最初に肯定的な面を強調して伝えることを徹底する必要がある。

C.アセスメントの結果は,クライエントが認識する自己像とどの程度合致するかによって,レベル1 からレベル3 の三つに分類される。レベル1 の情報は,クライエントが普段持っている自分についての考えに合う結果であり,クライエントにとって自明のことであるため,特段の事情がなければ,原則,フィードバックを省略する。

D.レベル3 の情報は,クライエントが普段持っている自分についての考えからかけ離れていたり,食い違っていたりするものであり,クライエントに受け入れられないことも多く,クライエントの不安をかき立てるものである。レベル3 の情報は,レベル1 及び2 の情報を受け入れ,それらについて詳しく話し合った時にのみ提示されるべきである。

1.A,B
2.A,D
3.B,C
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 A は妥当です。
関与しながらの観察を重要な手段として位置づけています。

記述 B、C ですが
アセスメントからの情報を、水準1~3に区分し「1から3に順に提示」します。すなわち、クライエント自身のいつもの考え方を確かめる、フィードバックにおいて容易に受け入れるであろう結果から伝えます。「原則的に肯定的な面についての情報から」というわけではありません。また「自明のことであるため、特段の事情がなければ、原則・・・省略する」わけでもありません。記述 B、C は共に誤りと考えられます。

記述 D は妥当です。

以上より、正解は 2 です。

コメント