問 題
感情の制御に関する記述A〜Dのうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
A.再評価は,不快感情をもたらしたネガティブな事象について思考し,新たな意味を見いだしたり,よりポジティブな解釈を加えたりすることである。これは,一時的に不快感情を軽減させるが,思考を強引に変化させて感情を抑圧するため,かえって元々抱いていた不快感情を増幅してしまう。
B.気晴らしは,不快感情とは無関係な読書やスポーツなどをすることでネガティブな事象から注意を逸らすことである。これは,不快感情を抱かせている問題について繰り返し考える機会を奪ってしまい,問題を抜本的に解決することを妨げるため,一時的であっても,抑うつやストレスの軽減にはつながらない。
C.デブリーフィングとは,災害等のトラウマ性の出来事を体験した人が,グループでその体験をシェアすることで心理的ストレスの軽減を図ることである。かつてはその有効性について懐疑的な見方が大半であったが,現在ではその有効性が広く認められており,WHO(世界保健機関)はトラウマ性の出来事に遭遇した人に対する早期介入方法として推奨している。
D.感情の抑制とは,感情を表出しないように制御することである。日常場面の中で最も頻繁に用いられる方略の一つであるが,感情の表出は抑制できても,かえって自律神経系の興奮は高まってしまうという問題があるほか,長期間にわたって感情の抑制を行うことで,健康を害する可能性も報告されている。
1.A
2.D
3.A,B
4.B,C
5.C,D
解 説
記述 A ですが
再評価とは、状況や刺激、自らの心的状態に対する解釈を変化させ、感情の強度や種類を変化させる感情制御方略の一つです。ネガティブ感情の低減に効果的であり、中長期的な心身の健康にも寄与するとされています。「かえって元々抱いていた不快感情を増幅する」わけではありません。記述 A は誤りです。
記述 B ですが
気晴らしが一時的なストレス軽減につながらない、という記述に違和感を覚えるのではないでしょうか。記述 B は誤りです。
記述 C ですが
デブリーフィングについて、試験時点において有効性が否定されています。推奨されていません。記述 C は誤りです。
記述 D は妥当です。
以上より、正解は 2 です。
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