公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.34解説

 問 題     

上の図は,縦軸に価格を,横軸に需要量・供給量をとり,市場におけるある財の需要曲線を D(破線),供給曲線を S(実線)で表したものである。各均衡点A,B,Cに関する記述として妥当なのはどれか。

1.均衡点Aは,ワルラス的には安定だが,マーシャル的には不安定である。

2.均衡点Bは,ワルラス的には不安定だが,マーシャル的には安定である。

3.均衡点Cは,ワルラス的にもマーシャル的にも安定である。

4.均衡点A及びBは,いずれもワルラス的に安定である。

5.均衡点A及びCは,いずれもマーシャル的に安定である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

市場において、価格と量という2つの変数が状況に応じて変わっていきます。「ワルラス的」とは、価格調整を考えるということです。価格をうまく調節していけば理想的均衡点に到達するような場合をワルラス的安定といいます。価格をうまく調節してもなんかうまいこといかないのが、ワルラス的不安定です。

ワルラス的安定・不安定の判定を行う場合には、まず、頭の中でも紙に書いてもいいのですが「いわゆる通常の需給曲線」を考えます。すなわち、需要曲線 D が 右下がり、供給曲線 S が右上がりであるようなグラフをイメージする、ということです。

思い浮かべた通常の需給曲線の均衡点付近で、少し上に横棒を引きます。下図のような作業を行う、ということです。

均衡点から少し上において横棒を引くと、供給曲線 S の方が右にあります。与えられた需給曲線においても、注目する均衡点の少し上に同様の横棒を引き、同じように供給曲線 S の方が右にあれば「安定」です。

本問で与えられた需給曲線における均衡点 A,C では、少し上に横棒を引くと「供給曲線 S の方が左側になる」と読めます。すなわち、不安定です。B は安定です。これにより、選択肢 1,2,3,4 は誤りです。

以上より、正解は 5 です。

ちなみに、マーシャル的安定・不安定の判定では、均衡点付近で、少し右に縦棒を引きます。通常の需給曲線であれば、需要曲線 D が 右下がり、供給曲線 S が右上がりなので、S の方がより大きい値で縦棒と交わります。こうなれば安定です。本問で与えられた需給曲線における均衡点 A,C が安定、B が不安定です。

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