問 題
今期と来期の二期間で所得の全てを支出する,ある消費者の効用関数が,U = 2C1 ・C2 (U:効用水準,C1 :今期の消費額,C2 :来期の消費額)であるとする。
この消費者は,今期に 180 の所得を得て,来期に 231 の所得を得るものとする。また,今期に貯蓄をすれば来期に 5 % の利子が得られるのに対して,今期に借入れをすれば来期に 10 % の利子を支払うものとする。この消費者が,効用を最大化するために,今期にとる行動として妥当なのはどれか。
1.20 の借入れを行う。
2.15 の借入れを行う。
3.借入れも貯蓄も行わない。
4.15 の貯蓄を行う。
5.20 の貯蓄を行う。
解 説
今期の消費額が、貯蓄 (save) を S、借り入れ(rent) を R とすれば、C1 = 180 – S + R、C2 = 231 + 1.05 S – 1.1 R です。
効用関数は、S,R を変数として、f(S,R) と書けば
U = f(S,R)
= 2 × (180 – S + R)(231 + 1.05S – 1.1R) です。下線部分が最大であれば、U も最大なので、以下、下線部のみに注目します。
【解法1:下線部そのまま選択肢の値代入して比較】
選択肢 1 が正解とすれば
R = 20、S = 0 です。この時、下線部は 200 × 209 です。
選択肢 2 が正解とすれば
R = 15、S = 0 です。この時、下線部は 195 × 214.5 です。選択肢 1 と比べると、左側の項の変化率が 2.5% 減少、右側の項は 2.5% 強の増加なので、選択肢 1 より大きい値です。以下、同様にして比較していきます。
選択肢 3 が正解とすれば
S = R = 0 です。この時、下線部は 180 × 231 です。選択肢 2 と比較すると、左側 8% 弱↓、右側 8% 弱↑ とかなりシビアな比較なので、ここは実際の計算で比較すると、180 × 231 = 41580 です。一方、選択肢 2 の掛け算は、『214.5 × 200 ー 214.5 × 5』 とすれば、42900 ー 1072.5 なので、選択肢 2 よりは小さい値です。正解ではありません。
選択肢 4 が正解とすれば
S = 15,R = 0 です。下線部は 165 × 246.75 です。選択肢 2 と比較すれば、左側が 15%強↓、右側がほぼ 15%↑ なので、選択肢 2 よりは小さい値です。正解ではありません。
選択肢 5 が正解とすれば
S = 20,R = 0 です。下線部は 160 × 252 です。選択肢 4 との比較が、近い値で簡単です。左側が 3% 強↓、右側が3% 弱↑ なので、選択肢 4 より小さい値です。正解ではありません。
2つの数の掛け算についての大小比較は、教養における資料解釈での基本テクニックなので、ぜひいつでも使えるようにしておきましょう。
【解法2:下線部を展開→微分して0となる関係を求めてから、選択肢代入】
S を定数、R を変数とみなして、下線部を展開、微分した関数 = 0 となる R を求めると、以下のようになります。R = (2.15/2.2) × S + 15 ・・・(1)の時、最大です。
選択肢 1 が正しいとすれば
R = 20、S = 0 です。(1)に代入すると、S = 0 の時 R = 15 となります。選択肢 1 は誤りです。
以下、同様に代入していけば、R = 15、S = 0 の組み合わせだけが、式(1)を満たします。従って、正解は 2 です。
以上より、正解は 2 です。
類題 H26no32
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