公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.29解説

 問 題     

不当利得に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け,そのために他人に損失を及ぼした者(受益者)は,善意であっても,その受けた利益につき,利息を付して返還する義務を負う。

2.債務の弁済として給付をした者は,債務の存在しないことを知っていて弁済したときにおいても,その給付したものの返還を請求することができる。

3.債務者は,弁済期にない債務の弁済として給付をしたときであっても,弁済期が到来するまでは,その給付したものの返還を請求することができる。

4.債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において,債権者が善意で証書を滅失させたときは,その弁済をした者は,返還の請求をすることができない。

5.不法な原因のために給付をした者は,不法な原因が受益者のみにあるときであっても,その給付したものの返還を請求することができない。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
民法 704 条により、悪意の受益者は、受けた利益に利息を付して返還しなければなりません。従って、善意であれば利息返還は不要です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
民法 705 条により、債務の不存在を知っていたときは、給付したものの返還を請求することができません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
民法 706 条により、弁済期にない債務の弁済として給付した場合、給付したものの返還を請求することができません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
民法 707 条です。この際、707 条第2項により、弁済した者から債務者への求償権の行使は可能です。

選択肢 5 ですが
民法 708 条の但し書きより、不法な原因が受益者についてのみ存する場合は、返還請求できます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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