公務員試験 H29年 国家一般職(電気・電子・情報) No.29解説

 問 題     

半導体の pn 接合に関する次の記述の ㋐~㋔ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「p 型半導体とn 型半導体を接合すると,n 型半導体における接合部付近の㋐は,拡散によりp 型半導体へ移動して㋑と再結合する。一方,p 型半導体における接合部付近の㋑は,拡散によりn 型半導体へ移動して㋐と再結合する。したがって,接合部付近では,n 型半導体には㋒にイオン化したドナが残り,p 型半導体には㋓にイオン化したアクセプタが残る。これらにより,接合部には電界が生じ,熱平衡状態ではp 型半導体とn 型半導体の㋔は一致する。」

/
1.伝導電子正孔フェルミ準位
2.伝導電子正孔キャリア密度
3.伝導電子正孔フェルミ準位
4.正孔伝導電子フェルミ準位
5.正孔伝導電子フェルミ準位

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

p は positive、n は negative の略です。㋐ですが「n 型・・・における接合部付近」なので、n 型→negative(「ー」) → 電子の方が余っている → 選択肢から「伝導電子」と選べるのではないでしょうか。そして、 n 型においては 電子がなくなってしまったので、「正」にイオン化します。

「電子がなくなったら正にイオン化する」というイメージについては、例えば Li や Na といった第一族原子が、最外殻電子を失い、一価の陽イオンになるイメージを思い出すと考えやすいと思います。

そして、㋔は フェルミ準位 です。まず、半導体の性質に関わるエネルギー準位は「下から価電子帯、禁制帯、伝導帯」です。そしてフェルミ準位とは、あるエネルギー準位を占める期待値が 「1/2」 になるようなエネルギー準位のことです。

イメージとしては、エネルギーを「家賃」、準位を占めているかどうかを「人が入居しているかどうか」に対応させるとつかみやすいかもしれません。例として、家賃 3 万円以下、3~9 万円台、 10 万円以上 という3つのエリアにはっきりわかれている地域を考えます。今、『3万円以下はほぼ入居済、ほとんど空き家なし、10 万円以上の所はいっぱい空いており、 家賃6 万円の家々が、ちょうど 半々入居者いて、半分は空き家です』という状況を考えます。すると、この半々の家賃である「6 万円」がフェルミ準位に対応する値です。

先の例において「3~9万円台」が禁則帯にあたり、半導体の種類によって、禁則帯のど真ん中がフェルミ準位であったり、価電子帯側や伝導帯側に寄っていたりします。

以上より、正解は 1 です。
類題 H28no29

コメント