公務員試験 H28年 国家専門職(食品衛生監視員) No.1分析化学Ⅱ(1)解説

 問 題     

高速液体クロマトグラフィーの原理に関する次の記述のⒶ~Ⓙに当てはまるものを語群から選び出し,それぞれの番号を記せ。なお,同じ語句を複数回選択してもよい。

「高速液体クロマトグラフィーは,固定相を充填したⒶ に,試料を含む移動相の液体を加圧して通過させ,固定相と移動相に対する試料分子のⒷ の違いを利用して,混合試料を迅速に分離する方法である。

順相クロマトグラフィーは,シリカゲルなどの担体にアミノ基などのⒸ 基をもつ化合物を化学結合した充填剤を固定相とし,移動相にⒹ 溶媒を用いるもので,極性試料の場合,移動相の極性が低いほど,その保持時間はⒺ 。

逆相クロマトグラフィーは,担体にアルキル基などのⒻ 基をもつ化合物を化学結合した充填剤を固定相とし,移動相にⒼ 溶媒を用いるもので,試料の極性が低いほど,その保持時間はⒽ 。

その他の分離方法として,分子のⒾ の違いを利用したイオン交換クロマトグラフィーや,分子のⒿ の違いを利用したゲル浸透クロマトグラフィーなどがある。」

<語群>①カラム,②恒温槽,③検出器,④溶解度,⑤浸透性,⑥親和性,⑦電荷,⑧サイズ,⑨極性,⑩非極性,⑪長くなる,⑫短くなる

 

 

 

 

 

 解 説     

高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography)とは、JIS の定義によると「液体の移動相をポンプなどによって加圧してカラムを通過させ、分析種を固定相及び移動相との相互作用(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除など)の差を利用して高性能に分離して検出する方法」です。

順相、逆相クロマトグラフィーについては、TLC(thin-layer chromatography:薄層クロマトグラフィー) が逆相というのを覚えておくと思い出しやすいと思います。TLC の固定相は、白いガラスプレートですが、実質がODS、すなわち、オクタデシル化したシリカゲルです。オクタデシル化してるのだから、長いアルキルをつけているので、疎水性です。

TLCは逆相で、固定相が疎水性という点を確実に思い出せれば、移動相は極性が高い親水性です。このつながりで「逆相→固定相が疎水、移動相が親水、順相はこの逆」という流れで思い出すとよいです。

イオン交換クロマトグラフィーは、語群から選ぶとすれば、電荷の違いを利用して分離するクロマトグラフィーです。また、ゲル浸透クロマトグラフィーは、サイズ排除クロマトグラフィーとも呼ばれ、分子のサイズの違いを利用し、分子が大きいほど保持時間が短くなるクロマトグラフィーです。

以上より
A カラム ①
B 親和性 ⑥
C 極性 ⑨
D 非極性 ⑩
E 長くなる ⑪
F 非極性 ⑩
G 極性 ⑨
H 長くなる ⑪
I 電荷 ⑦
J サイズ ⑧ です。

コメント