公務員試験 H28年 国家専門職(食品衛生監視員) No.1分析化学Ⅰ(1)解説

 問 題     

溶液濃度に関する記述 ①~⑤ について,妥当なものには○を,妥当でないものには×をそれぞれ記せ。なお,ショ糖の分子式は C12H22O11 である。

① 質量パーセント濃度 10 % のショ糖水溶液を作るには,ショ糖 100 g を 1,000 g の水に溶かす。

② 容量モル濃度 1 mol/L のショ糖水溶液を作るには,ショ糖 342 g を 1 L の水に溶かす。

③ 質量モル濃度 0.1 mol/kg のショ糖水溶液を作るには,ショ糖 34.2 g を水に溶かして 1 kg とする。

④ 質量モル濃度 0.001 mol/kg のショ糖水溶液の濃度を質量分率で表すと 342 ppm になる。

⑤ 容量モル濃度は温度により変化しないが,質量モル濃度は温度により変化する。

 

 

 

 

 

 解 説     

①ですが
ショ糖 100g を 1000g の水に溶かすと、1100g の砂糖水ができます。すると質量パーセント濃度は 100/1100 × 100% です。これは 10% ではありません。よって、妥当ではありません。10% 水溶液を作る一例としては、ショ糖 100g を 水 900g に溶かせばよいです。

②ですが
ショ糖の分子式は C12H22O11 とあるため、342g = 1mol とわかります。(12×12 + 1×22 + 16 × 11 = 144 + 22 + 176 = 342 だからです。)1mol/L の溶液を作るには、ショ糖 342g を溶かした上で、メスアップして 1L にします。1Lの水に、ショ糖 342g を入れてしまうと、体積が大きくなってしまうため、モル濃度は 1mol/L よりもわずかに小さくなってしまうと考えられます。

③は、妥当な記述です。

④は、妥当な記述です。
1ppm は、100万分の1 なので、1ppm =  0.0001%です。従って、342ppm = 0.0342% と表すことができます。一方、1mol/kg であれば、342g/kg = 342g/1000g = 34.2%です。1mol/kg = 34.2% なので、0.001mol/kg = 0.0342% です。以上より、確かに 0.001mol/kg = 342ppm となります。

⑤ ですが
容量モル濃度と、質量モル濃度が逆です。温度によって、体積が変化するため、容量モル濃度は温度により変化します。質量は変化しません。

以上より、①☓、②☓、③◯、④◯、⑤☓ です。

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