公務員試験 H28年 国家専門職(教養) No.28解説

 問 題     

我が国の世界遺産や無形文化遺産に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.世界遺産は,国連教育科学文化機関(ユネスコ)が世界遺産一覧表に記載している物件であり,文化遺産,自然遺産,複合遺産の3 種類がある。我が国には,文化と自然の両方の要素を兼ね備えた複合遺産が最も多く,「富士山」,「白神山地」などが複合遺産として登録されている。

2.世界遺産一覧表への記載は,各国から推薦された物件について,国際記念物遺跡会議(イコモス)による審査と評価結果の勧告を経て,世界遺産委員会で決定される。平成27 年には,我が国の「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」が登録された。

3.平成26 年に,「富岡製糸場と絹産業遺産群」が文化遺産として,世界遺産に登録された。これは,昭和初期における生糸の大量生産の実現に貢献した技術交流と技術革新を示すものであり,群馬県の富岡製糸場のほか,絹産業の遺産群として全国各地の養蚕業が行われた集落や施設が含まれる。

4.平成23 年に,「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」が文化遺産として,世界遺産に登録された。これは,平安時代に全盛を迎えた平氏が東北地方で展開した文化であり,拠点の一つであった平泉には,平等院鳳凰堂のほか中尊寺などが建立された。

5.無形文化遺産は,無形文化遺産保護条約に基づき,ユネスコでその登録の可否を決定している。我が国では,平成27 年に,「和紙:日本の手てすき漉和紙技術」が初の無形文化遺産に登録された。これは,奈良時代に唐の蔡倫から伝えられた製紙法が,独自に改良されたものであり,現在では紙幣の製造などに用いられている。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、文化遺産がほとんどです。複合遺産は(H30 年度時点)登録ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、「富岡製糸場と絹産業遺産群」とは、群馬県の富岡製糸場のほか、荒船風穴、 高山社跡、田島弥平旧宅 の4件のことです。明治時代の官営製糸工場なので、「昭和初期の・・・」が誤りと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、平泉は、奥州藤原氏です。平氏ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、無形文化遺産は、能楽、人形浄瑠璃文楽などが以前に登録済です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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