問 題
我が国における農作物の凍霜害及び凍霜害対策に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.凍霜害には,晩春から初夏にかけて発生する初霜害と,晩秋から初冬にかけて発生する晩霜害の二つがあり,後者の方が,一般に,農作物の被害が大きい。被害は場所による差が大きい傾向があり,霜道,霜穴と呼ばれる場所で被害が軽減される特徴がある。
2.凍霜害対策の一つに送風法がある。この方法は,凍霜害の発生が懸念されるときには,上空に地表面の気温よりも数℃ 高くなる気温の逆転層が発生していることを利用して,この高温の空気を送風機によって地表面付近に送り込んで,地表面付近の昇温を狙うものである。
3.凍霜害が発生しやすい典型的な天気図のパターンとして,日本付近がオホーツク海高気圧に広く覆われている気圧配置が挙げられる。このような日は,一日を通じて季節風が強く,よく晴れるため,明け方は厳しい寒さになりやすい。
4.散水氷結法は,散水によって植物体の表面を氷層で覆い,水が凍結するときに発生する顕熱で植物体をほぼ0 ℃ に保ち,細胞の凍結を防ぐものである。散水作業は植物体全体に氷層が形成されるまで行う必要がある。
5.燃焼法(加熱法)は野菜畑で主に用いられ,加熱器などによって気温とともに作物体温を上昇させるものである。加熱器の設置数は1 ha 当たり 20 個程度である。昇温効果は比較的確実であるが,加熱器の設置や着火後の管理など,労力がかかるのが欠点である。
解 説
選択肢 1 ですが
初霜害と晩霜害が逆です。また、霜道や霜穴は霜が「たまりやすい」場所です。被害は大きい傾向にあると考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当な記述です。
選択肢 3 ですが
凍霜害の典型的天気図パターンは、「シベリア高気圧」が発達している天気図です。「オホーツク海高気圧」は、春~夏に発達する高気圧です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
散水氷結法についての記述は正しいです。後半ですが「葉の表面」が凍っていればOKです。「植物全体」ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
燃焼法は主に「果樹類」で用いられます。加熱器設置や着火後管理に労力がかかるというのは妥当な記述です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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