問 題
近代以降の思想家に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.デカルトは,普遍的な命題から理性的な推理によって特殊な真理を導く帰納法を用いて,物事を正しく認識することを重要とし,これを妨げる偏見や先入観を「イドラ」と呼んだ。
2.ヘーゲルは,イギリス経験論と大陸合理論を総合した。また,自律の能力を持った理性のある存在を人格と呼び,互いの人格を尊重し合うことによって結び付く社会を「共和国」と呼んだ。
3.ベンサムは,人間の生き方を探求し,「モラリスト」と呼ばれた。快楽には精神的な快楽と感覚的な快楽があり,人間の幸福にとって大きな要素となるのは,精神的な快楽であると主張した。
4.サルトルは,人間は自由であることから逃れることは許されず,また,自己の在り方を選ぶ行動は,全人類に対しても責任を負うとして,社会参加(アンガージュマン)の大切さを説いた。
5.フロムは,ニヒリズムの立場から,より強くなろうとする力への意志に従い,たくましく生きようとする人間を「超人」と呼び,神への信仰を捨てるよう説いた。
解 説
選択肢 1 ですが、普遍的命題から特殊な審理を導くのは「演繹法」です。また、「イドラ」はベーコンが唱えました。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが、イギリス経験論と大陸合理論の統合といえば「カント」です。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが、ベンサムといえば量的功利主義です。精神的快楽、感覚的快楽を分けて考えて、人間の幸福により重要な要素が精神的快楽と考えたのは、ベンサムの思想を受けたミルの質的功利主義の考え方です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、妥当な記述です。
選択肢 5 ですが、「超人」は「ニーチェ」が唱えました。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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