公務員試験 H28年 国家一般職(化学) No.43解説

 問 題     

図は、25 ℃ におけるエタノール-水-ジエチルエーテル系の液液平衡関係を表したものであり、縦軸はエタノールの質量分率、横軸はジエチルエーテルの質量分率であり、三角図中の曲線は溶解度曲線である。

いま、水とジエチルエーテルを1:1 で混合したものにエタノールを少しずつ加えていく。このときの液相の変化に関する次の記述の ㋐,㋑,㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「エタノールを加える前,水とジエチルエーテル混合液は,二つの液相に分かれている。エタノールを加えると,エタノールの量が少ないうちは, ㋐が,エタノールがある量を超えると, ㋑。

この変化が起こるときのエタノールの質量分率は,およそ㋒である。」 

 
1 二つの液相に分かれたままである 一つの均一相になる 0.28
2 二つの液相に分かれたままである 一つの均一相になる 0.72
3 二つの液相に分かれたままである 三つの液相に分かれるようになる 0.28
4 三つの液相に分かれることになる 一つの均一相になる 0.72
5 三つの液相に分かれることになる 二つの液相になる 0.28

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

水とエタノールはよく混ざることが基礎知識です。エタノールを加えていけば、少なくとも水とエタノールは1つの相を形成すると考えられます。よって三つの液相に分かれるとは考えられません。正解は1~3です。

さらに、同じ理屈により、エタノールの量が増えたからといって、三つの液相に分かれるとは考えられません。よって、正解は 1 or 2 とわかります。

変化が起きるのは、図の溶解度曲線をまたいだ時であろうと考えられます。まず水とジエチルエーテルが1:1であって、エタノールがまだ加えられていなかったのだから、横軸におけるジエチルエーテルの質量分率が 0.5 の所からスタートします。

エタノールを加えていくことで、三角図における上の方へ上がっていくため、エタノールの質量分率が大体 0.3 弱で溶解度曲線をまたぐと読み取ることができます。よって、㋒は 0.28 です。イメージは、下図のようになります。

以上より、正解は 1 です。

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