公務員試験 H28年 国家一般職(教養) No.37解説

 問 題     

次は,我が国の近代思想に関する記述であるが,A~Dに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

〇 明治期の思想家であるA は,ルソーの『社会契約論』を翻訳し,『民約訳解』として出版した。そこに示された主権在民の原理や抵抗権の思想は,自由民権運動に新たな理論的基礎を与える役割を果たした。

〇 夏目漱石は,「日本の現代の開化は外発的である」と述べ,西洋のまねを捨て自力で自己の文学を確立しようと決意した。晩年には,自我の確立とエゴイズムの克服という矛盾に苦闘し,B の境地に到達したといわれている。

〇 西田幾多郎は, C において,主観(認識主体)と客観(認識対象)との二元的対立から始まる西洋近代哲学を批判し,主観と客観とが分かれていない主客未分の経験を純粋経験と呼んだ。

〇 大正期には大正デモクラシーと呼ばれる自由主義・民主主義的運動が展開された。Dは,民本主義を主張し,主権が天皇にあるのか国民にあるのかを問わず,主権者は主権を運用するに際し,国民の意向を尊重し,国民の利益と幸福を目的としなければならないとした。

   A     B     C      D
1.中江兆民 則天去私 『善の研究』 吉野作造
2.中江兆民 諦念   『善の研究』 美濃部達吉
3.中江兆民 諦念   『倫理学』  吉野作造
4.内村鑑三 則天去私 『倫理学』  美濃部達吉
5.内村鑑三 諦念   『善の研究』 吉野作造

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

ルソーの翻訳は、中江兆民です。内村鑑三は、キリスト教思想家で、「代表的日本人」を英語で書いて紹介した人です。

夏目漱石の晩年といえば「則天去私」です。「諦念」森鴎外のキーワードです。

西田幾多郎の著書は『善の研究』です。「倫理学」和辻哲郎さんの著書です。

民本主義といえば、吉野作造です。美濃部達吉天皇機関説がキーワードです。

以上より、A 中江兆民、B 則天去私、C 善の研究、D 吉野作造 です。

正解は 1 です。

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