公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.58解説

 問 題     

我が国における犯罪及び非行に関する法律・施策の変遷についての記述として最も妥当なのはどれか。

1.2007(平成19)年,犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法が整理・統合され,更生保護法が成立した。同法はその後改正され,保護観察の特別遵守事項の類型に社会貢献活動が追加された。

2.2013(平成25)年,監獄法が成立した。同法では,2003(平成15)年以降,年々上昇している刑事施設の収容率を低下させるため,刑事施設の長の裁量により,刑の一部の執行を猶予することができると規定された。

3.2014(平成26)年,少年法が改正された。この改正によって,同法では,懲役,禁錮等に当たる罪の事件について,家庭裁判所が刑事処分を相当と認めるときは,原則として相当の期間,当該事件を起こした少年を家庭裁判所の調査官に直接観察させる試験観察に付すことが規定された。

4.2014(平成26)年,少年院に関する独立した法律である少年院法が初めて成立した。同法では,少年院の業務として,専門的知識及び技術に基づいた鑑別を実施することや,少年院に収容することができる年齢をおおむね16 歳以上とすることが規定された。

5.2015(平成27)年,犯罪対策閣僚会議が「再犯防止に向けた総合対策」を初めて策定し,2021(平成33)年の刑務所出所者全体のうち2 年以内に刑務所に再入所する者の割合を,2011(平成23)年の刑務所出所者全体のうち2 年以内に刑務所に再入所した者の割合と比較し,80 % 以上減少させることとする数値目標を設定した。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。
平成25(2013)年6月に公布された「刑法等の一部を改正する法律」(平25法49)により,「更生保護法」に基づく保護観察の特別遵守事項の類型の一つに加えられました。

選択肢 2 ですが
監獄法は、改正されて「刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律」と改名されました。 2013 年に成立したわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
試験観察とは、保護観察か少年院送致か判断するために、家裁調査官が3~6ヶ月程度、生活態度を観察して様子を見る制度です。2014 年に少年法は改正されましたが、「原則、試験観察に付す」という規定にはなっていません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「2014 年、・・・独立した法律・・・が初めて成立」という部分は「少年鑑別所法」についての記述と考えられます。少年院法は、以前から存在しています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「80% 以上減少」はちょっと目標高すぎと感じるのではないでしょうか。「20% 以上減少」が目標です。定住や就職支援など、多様な対策が実施されており、再犯率は減少傾向にあります。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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