公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.57解説

 問 題     

次は,近代以降の社会学理論に関する記述であるが,A,B,Cに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

・M.フーコーは,言説の編成に関与する権力の関係に注目し,言説の分析を権力の分析と強く相関させる問題構成を取り,『A 』などを著した。

・B とは,社会化過程の中で習得され,身についた一定のものの見方,感じ方,振る舞い方などを持続的に生み出していく性向のことであり,P.ブルデューはこの概念を重用した。

・N.ルーマンは,『社会システム理論』において, C 理論を導入し,社会システムを,構成要素であるコミュニケーションが更なるコミュニケーションを継続的に生み出す自己言及的なC ・システムとして捉える社会システム論を展開した。

A B C
1.第三の道  パラダイム  ライフ・サイクル
2.第三の道  パラダイム  オートポイエーシス
3.第三の道  ハビトゥス  ライフ・サイクル
4.監獄の誕生 パラダイム  ライフ・サイクル
5.監獄の誕生 ハビトゥス  オートポイエーシス

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 A ですが
「第三の道」の著者はギデンズです。フーコーではありません。これにより、A は「監獄の誕生」です。

記述 B ですが
「習得され、身についた・・・」という表現から「ハビトゥス」です。習慣が英語で habit であることから連想できるのではないでしょうか。パラダイムとは、ある時代におけるものの見方、考え方を支配する認識枠組のことです。クーンの「科学革命の構造」で定義されました。

記述 C ですが
ルーマンが「社会システム理論」で導入した理論は「オートポイエーシス」です。オートポイエーシスとは、自己が自己の要素を産生することです。チリの生物学者マトゥラーナとバレーラにより提唱され、ルーマンが社会システム理論に援用することで、人文学的にも広く知られるようになりました。

以上より、正解は 5 です。

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